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2022 年度 実施状況報告書

声帯瘢痕に対する選択的エストロゲン受容体修飾薬の作用機序の解明と新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K16902
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

椋代 茂之  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00821860)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード声帯瘢痕 / TGF-β1/Smad signaling / 選択的エストロゲン受容体修飾薬
研究実績の概要

声帯瘢痕は難治性線維化疾患である。音声障害によるダメージは大きく、新規治療法の開発が急務である。
SERM (選択的エストロゲン受容体修飾薬) は骨粗鬆症や乳癌の治療薬であるが、近年抗線維化作用が明らかになった。研究代表者は、エストロゲンが声帯損傷時にエストロゲン受容体(ERαやGPR30)を介して声帯線維芽細胞(VFFs)のTGF-β/Smad signalingに作用し、抗線維化作用を示すことを解明した。エストロゲンの副作用を解決するために開発されたSERMは、安全かつ効率的に声帯創傷治癒を改善させることが示唆される。
今回我々は、代表的なSERMであるタモキシフェン(TAM)に注目し、培養したラットVFFsにTAM(10-8または10-9 M)±TGF-β1 (10 ng/ml) を投与して、24・48時間後の細胞増殖能と4・24時間後の線維化関連遺伝子の発現を調べた。その結果、TAM単独投与はVFFsの細胞増殖能には有意な影響を与えず、TAM+TGF-β1群ではTGF-β1群に比較してSmad7とHas3の発現が有意に増加し、Col1a1とActa2が有意に減少した。
以上からTAMはVFFsのエストロゲン受容体を介しTGF-β1/Smad signalingに作用して抗線維化作用を示すことが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まずは10週齢雄SDラットの声帯組織から声帯線維芽細胞を培養した。各種薬剤を投与した後に、細胞増殖アッセイやqPCRを用いることで、タモキシフェンが声帯線維芽細胞のTGF-β1/Smad signalingに作用して抗線維化作用を示すことを明らかにできた。

今後の研究の推進方策

10週齢雄SDラットの片側声帯を内視鏡下に損傷し、損傷5日前から7日後までTAM (50 mg/kg/day)を経口投与する。56日目に喉頭摘出後、薄切凍結切片を作成してHE染色・AB染色・EVG染色をおこない、組織学的に声帯粘膜固有層を評価する予定。

次年度使用額が生じた理由

当該年度には培養細胞を用いた実験を遂行したため細径内視鏡システムやモニターの購入をみあわせた。そのために物品費に未使用額が生じたが、声帯瘢痕モデルを用いた実験は次年度以降に予定しており、未使用額をその経費として使用したい。また世界的なCOVID-19の流行により国際学会への参加を見合わせた。次年度以降に発表を予定しており、未使用額をその経費としても使用したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ラット声帯線維芽細胞のTGF-β1/Smad signalingに対するタモキシフェンの抗線維化作用2023

    • 著者名/発表者名
      椋代茂之,松下大樹,小澤聡美,木下翔太,橋本慶子,金子真美,杉山庸一郎,平野 滋
    • 学会等名
      第35回日本喉頭科学会・学術講演会

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公開日: 2023-12-25  

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