研究課題/領域番号 |
22K16904
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
江洲 欣彦 自治医科大学, 医学部, 助教 (80835512)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 好酸球性中耳炎 / サイトカイン / 生物学的製剤 / Phenotype / Endotype |
研究実績の概要 |
好酸球性中耳炎は、中耳に液体が溜まり、炎症が起こる病気です。通常の治療では、中耳の液体を除去し、鼓室を洗浄することが行われます。本研究では、中耳の液体と鼓室内洗浄液を回収し、サイトカインと呼ばれるタンパク質分子を測定することができます。また、血液も採取し、血清中のサイトカインも測定することができます。 本研究の目的は、生物学的製剤と呼ばれる薬剤の有効性と、中耳病勢に関与する分子(タンパク質)を明らかにすることです。治療前後に発現するサイトカインを解析するために、抗IL-5抗体薬、抗IL-5受容体α抗体薬、抗IL-4/13受容体抗体薬を使用した患者例を集積しました。また、比較対象(コントロール)として単純穿孔の慢性中耳炎症例の中耳洗浄液および血清を収集しました。 サイトカインは、細胞が他の細胞とコミュニケーションするために使用するタンパク質です。免疫系の機能に重要な役割を果たし、炎症や感染症の治療において重要なターゲットとなります。磁気ビーズを用いて少量の検体から複数のサイトカインを同時に測定することで病勢に影響を与えるサイトカイン同士の相互関係を明らかにする解析を行っております。 今後、各生物学的製剤の治療効果と、治療前後の中耳および血液中に発現したサイトカインの変化を網羅的に測定することで、炎症の誘導のカギとなるターゲット分子や、好酸球性中耳炎症例に対する分子標的薬の治療適応や使い分けを判断するうえで有用な知見を得ることができると考えております。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例収集が順調に進み、耳漏・血清両検体のサイトカイン測定ができた。 現在観察期間1年のデータが収集されているが、重症例では改善が乏しい症例も存在しており、加療を継続している。現在治療介入後1年のデータの追加および、治療介入後2年のデータを収取中であり、データ収取および追加実験を予定できる環境は整っている。
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今後の研究の推進方策 |
重症例に特異的なサイトカインを同定し、病態進行に関わる因子や難聴の進行に関わる分子を特定するため引き続き研究対象者を収集し、十分な検体数を解析することで、好酸球性中耳炎のPhenotype(表現型の分類)やEndotype(分子メカニズム)に迫る。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナにより予定していた海外出張を見合わせたため。
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