研究課題/領域番号 |
22K16909
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
三田 恭義 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任研究員 (60868074)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 頭頸部扁平上皮癌 / 腫瘍免疫 / 腫瘍浸潤リンパ球 / stem like CD8 T cell / 3次リンパ構造 |
研究実績の概要 |
頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)は現在増加傾向にあるが、治療後再発を繰り返す症例や、治療抵抗性を示す症例など治療に難渋することも少なくない。近年免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の出現とともに、がん局所における免疫反応の重要性が明らかとなってきた。特に所属リンパ節(dLN)のstem like CD8 T細胞(TSL細胞)の存在、腫瘍内に形成される3次リンパ構造(TLS: Tertiary Lymphoid Structure)の形成・成熟が腫瘍免疫に重要であることが示されている。本研究では(1)手術により切除された頭頸部癌組織と所属リンパ節組織を対象に、TLSの成熟と腫瘍浸潤リンパ球 (TIL: Tumor Infiltrating Lymphocytes)・所属リンパ節中のTSL細胞に焦点を当てて解析し、(2)TLSの量的・質的変化がTSL細胞の腫瘍内への誘導・維持にどのような影響を与えるのか解明することで抗腫瘍免疫応答の詳細を明らかとし、頭頸部癌における予後予測、がん免疫療法の新たな標的同定を目的としている。 本年は、千葉大学医学部付属病院にて手術加療を受けたHNSCC症例より原発巣およびdLNの検体回収を行うとともに、予備的解析として腫瘍浸潤リンパ球(TIL)・dLN中のリンパ球に対するフローサイトメトリー(FCM)、免疫組織化学(IHC)による解析をおこなった。 FCM解析によりHNSCCのTIL、dLN中それぞれにチェックポイント阻害薬の標的細胞とされるTSL細胞や疲弊CD8T細胞の局在を確認することができた。またIHCでは腫瘍組織内のTILの局在や3次リンパ組織(TLS)の存在を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
FCM, IHCの予備的な解析は進んでいるが、解析に足る組織が採取できる症例が予定よりも少なく、検体数が予定を下回るため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き検体回収と解析を進め、TSL細胞の機能解析やTLSの成熟度解析、臨床経過との相関解析などを行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
FCM, IHC解析などの試薬等資材、ならびに情報収集目的で参加を予定している学会の旅費として当該使用額が発生している。 本年度は検体回収や一部解析に遅延が生じているものの、次年度は追加の機材購入を行い予定にあわせさらに解析を進めていく方針であるため、当初予定していた予算を要する見込みである。
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