小児急性中耳炎・副鼻腔炎は、その主要起因菌に対するワクチン定期接種導入以後も小児における重要な感染症である。抗菌薬使用ガイドラインの作成・計画的ワクチン導入の効果によって、治療・予防戦略に変化がみられる一方で、反復・難治化する症例も少なくない。今回、ウイルス感染が細菌感染に及ぼす影響、宿 主細胞に及ぼす影響の大きく2つの視点から分子生物学的検討を行う。本研究では、主に呼吸器感染症ウイルスが上気道に感染することによって及ぼす影響について検討する。 ウイルス感染が細菌感染に及ぼす影響、そして寄宿細胞に及ぼす影響の大きく2つの視点から分子生物学的検討を行う。そして小児上気道感染症 に対する新たな治療標的を見出すことを最終目的とする。小児急性中耳炎と副鼻腔炎の病態のうち、特にウイルス感染とそれに続く細菌感染に着目する。具体的には、はじめに手術の際に得られる鼻粘膜や咽頭扁桃組織から作成した上皮細胞を用いて、単層培養(submerge)と気相液相界面培養 (air-liquid interface: ALI) における呼吸器感染性ウイルス感染時のバリア機能を解析する。初年度は小児咽頭扁桃上皮細胞の培養を行い、単層培養において小児で感染例の多いRSウイルス、ライノウイルス(HRV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)を感染させてRNA sequence解析を行った。実績としてRSウイルスの定量系としてプラークアッセイ法の改良に関わり、Journal of virological methodに報告した。
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