研究課題/領域番号 |
22K16920
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
齋藤 弘亮 東海大学, 医学部, 客員講師 (80624551)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 嗅覚障害 / 再生治療 / サイトカイン / 幹細胞 / 嗅神経 |
研究実績の概要 |
本研究の軸となる嗅覚障害マウスの再現性を確認している。外傷による嗅覚障害モデルマウスについては、再現性を得ることが困難と思われ、今後改めて検討する。抗甲状腺薬腹腔内注射による薬剤性嗅覚障害モデルは様々な研究で用いられている。体重換算で用量を決定するため再現性を得られやすいと思われた。個体差がある可能性や今後の正常マウスとの機能評価比較により妥当性を再検討する必要がある。 マウス鼻腔へのサイトカインカクテル注入方法については、ハイドロゲルにサイトカインカクテルを含有させ、嗅裂部に留置する方法をとったが、マウスの鼻腔は狭く、留置部位の再現性を確保することが困難であり、また留置後の異物反射により、脱落、排出されることがあり、方法としては不適当と考えた。よって臨床での点鼻薬と同じように、マイクロシリンジでサイトカインカクテルを直接点鼻することとした。注入するタイミングとしては、外傷直後、1回/週での注入を検討していたが、ハイドロゲルがなくなるため、1日おき、または毎日点鼻する方法で検討している。鼻腔粘膜の組織的特徴や血流が豊富であることから、点鼻投与で十分効果が期待できると思われた。非注入群には臨床で一般的な副腎皮質ステロイドや加えてbFGFを投与することを検討中である。 嗅覚再生の機能評価としては匂い物質による行動観察をいくつか試した。具体的には危険臭(TMT)を嗅がせ、その行動変化をビデオで記録すること、チーズを用いた匂い物質発見時間の記録等を行った。実験環境に予め慣れさせる必要性や絶食時間が必要なことを確認した。さらには嗅覚閾値(慣れ)の問題があり、一般に標準化された試験がないため、当研究において、標準化した方法を確立する必要がある。 嗅神経細胞の再生を評価するために、凍結組織切片を作成し蛍光顕微鏡を用いて組織学的再生(嗅上皮の厚さ、成熟・幼若 嗅神経細胞数など)を確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者の研究エフォートの問題。 研究室のマンパワーや必要物品が入手困難など環境的問題。 研究の軸となる嗅覚障害モデルマウスや機能評価方法の再現性、妥当性を確認するために時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
研究室の環境が整い次第必要な実験時間を確保し実行する。 嗅覚障害モデル作成、機能評価方法を確立し、実験を行い、機能評価、組織学的評価まで進め、学会発表または論文報告を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究室の環境変化、人員転換があり、研究計画に遅れが出ているため。環境や人員が整い次第必要な実験時間を確保する。嗅覚障害モデル作成方法を確立し、移植実験を 行い、機能評価、組織学的評価を行う。そのための必要物品の購入を予定している。具体的には以下の購入を検討している。C57BL6マウス、幹細胞培養に必要な 培養液等、嗅覚障害モデルを作成するための抗甲状腺薬(メチマゾール)、サイトカインを含有する徐放用ハイドロゲル、点鼻投与のためのマイクロシリンジ、 コントロール薬としての副腎皮質ステロイド、行動観察のための危険臭液(TMT)、体温測定器、組織学的評価のための各試薬、エライザ、プロテインアレー キット(adipokine)。 加えて動物飼育施設、組織化学的解析、細胞培養、RNA, DNA、タンパク解析等の設備の維持に必要な物品購入を予定している。 その他、研究成果が出た場合の学会発表や論文作成にかかる費用を別途計画する
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