研究課題/領域番号 |
22K16929
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
津田 武 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00778631)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | MMP9 / 好酸球性副鼻腔炎 / 中鼻甲介 |
研究実績の概要 |
好酸球性副鼻腔炎(ECRS)はType2炎症を主体とした難治性疾患であり様々な免疫細胞と非免疫細胞が病態に関与すると報告されている。しかしながら不明な点も多く、一般的な治療である内視鏡手術においても再発率が高く再発に関する因子を検討することが非常に重要である。 本研究では、ECRSにおける難治化メカニズムの解明に中鼻甲介が果たす役割についての研究を行った。これまでの報告では、中鼻甲介が術後の再発に寄与するといった解剖学的な意味で重要であることは認知されていたが、生化学的な意味での役割については不明であった。実験の結果、内視鏡所見では異常が認められなかった場合でもECRSの中鼻甲介では好酸球の浸潤が認められることを発見した。また、RNA-sequenceの結果を解析したところ、ECRSの中鼻甲介ではIL-4 pathwayや線維化に関するPathwayが亢進していることがわかり、視診上異常がなくてもType2炎症を引き起こす素体が存在することを明らかにした。さらに、ECRS患者由来の中鼻甲介ではMMP-9蛋白の発現が亢進していることも同時に明らかにした。以上の結果から、中鼻甲介はECRSにおける重要な役割を果たしていることが示唆され、内視鏡所見だけではECRSの状態を正確に把握することができないことが示唆された。また、中鼻甲介におけるIL-4 pathwayや線維化に関するPathwayの亢進、およびMMP-9の発現亢進がECRSの難治化メカニズムに関与している可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RNAa-sequenceの結果の解析および免疫染色の条件検討については順調に進んでおり当初の予定通りと考えられる。その一方で副鼻腔組織より採取できる骨成分が少なく刺激実験に用いるための骨芽細胞の培養系確立が順調ではない。このためやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き中鼻甲介におけるMMP-9の発現について免疫染色を行っていき、これらをImageJ Fijiを用いた解析にかけ非特異的反応を除去した定量化を行う。また骨芽細胞の培養系については引き続き継続していくが、安定した培養系の確立が困難であればその他の細胞をターゲットとした実験を行い他の炎症惹起メカニズムを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫染色の条件検討について類似の組織であるが異なる部位であったことから条件検討に予算がかかる予定であった。しかしながら鼻茸組織の免疫染色における条件検討を流用することで問題ない経過を得られたため当初よりも使用額が下回る結果となった。
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