好酸球性副鼻腔炎(ECRS)および非好酸球性副鼻腔炎患者より採取した中鼻甲介を用いてRNA-sequencingによる解析を行った。その結果、ECRS患者由来の中鼻甲介ではIL-4 signaling pathwayの発現が亢進するとともに、線維化に関連するpathwayも亢進していた。線維化に関するpathwayに共通して含まれていた遺伝子としてMMP9があげられ、実際にECRSの中鼻甲介においてMMP-9蛋白の発現も亢進していることを免疫染色で確認することができた。 またECRS患者およびNECRS患者の血清MMP-9濃度を測定したところECRSの患者において血清濃度が有意に上昇しており、polyp scoreと正の相関を認めた。MMP-9の機能解析を行う目的で鼻腔上皮細胞に対してrecombinant MMP-9の刺激を行い変動遺伝子についてもRNA-sequence解析を行ったところ、刺激によってIL-6およびIL-17 signal pathwayの亢進を認めた。これらを総合してECRSの病態において中鼻甲介がMMP9の産生を介してType2炎症およびType3炎症が混在する複合炎症を招き病態の増悪に寄与していると考えれた。
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