研究課題/領域番号 |
22K16963
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
外山 琢 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10645568)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | フレイル / OCT / 網膜厚 |
研究実績の概要 |
この研究は、高齢者の健康状態を評価するために眼科検査情報を活用する可能性を探求している。研究では、高齢者における前糖尿病や非糖尿病網膜症の神経変性を調べるために、網膜厚みを測定した。その結果、網膜厚は、病気の段階に応じた神経変性を反映する敏感なパラメーターである可能性が示唆された。これは、糖尿病の管理や予防において、眼科検査が有用な情報を提供することができることを示唆している。
また、研究では、高齢者のフレイルの予測において、眼科の検査情報を利用することができるかどうかも検証した。その結果、眼科検査で得られる網膜厚みとKCLスコア(フレイル指標)との間に有意な関連性は認められなかった。ただし、今回の研究はあくまでも一つのアプローチに過ぎず、今後、より詳細な分析やより多くのデータを収集することで、眼科検査がフレイルの評価に有用である可能性があることを示唆している。
眼科検査は、従来の医療分野で用いられている検査と比べ、非侵襲的で簡便な手法であり、高齢者の健康状態の評価に有用な情報を提供することが可能である。今後、より多くのデータを収集し、より詳細な分析を行うことで、眼科検査が医療分野での役割を拡大することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究において、高齢者における前糖尿病と糖尿病患者の網膜厚みを比較し、網膜神経線維層の厚みを調べることで、早期の神経変性を反映する敏感なパラメーターを示唆する結果が得られたことが報告した。さらに、他のフレイルと網膜厚の関連についてもデータ収集ができ、順調に研究が進んでいる。今回の研究において収集されたデータは、今後の研究においても役に立つことが期待され、前向きな展開が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においては、サンプル数を増やし、より多くのデータを収集することで、より精度の高い分析が可能になると考えられる。網膜厚以外にも、高齢者のフレイルを評価するための検査項目を追加することで、より多角的な分析が可能になる。例えば、身体機能や認知機能の評価などが挙げられる。高齢者のフレイルは時間とともに変化するため、長期的な追跡調査を行うことで、変化の様子を観察することが可能である。これにより、フレイルの発生や進行に関する新たな知見を得ることができると考えられる。さらに、今回の研究では、KCLスコアと網膜厚に関連性が認められなかったため、他のフレイル評価の指標を検討することも必要と考えている。また、網膜厚とフレイルの関連性について、縦断的な研究も必要になっていこうと考えている。加えて、網膜神経線維層の薄化による神経変性についても、より詳細な解析を行うことを検討中である。 以上のような推進方策によって、より詳細な知見を得ることができ、高齢者のフレイルに対する理解を深めることができると考えている。また、今回の研究において得られた知見を基に、網膜厚を用いた高齢者のフレイル予測モデルの開発を進め、高齢者のフレイルの早期発見や予防に役立つことが期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、ウエブでの学会に参加したことにより、出張費を抑えることができた。ウエブ学会では、オンラインでの参加が可能であり、会場までの交通費や宿泊費を抑えることができた。そのため、出張費用が通常の学会に比べて抑えられ、余剰予算が発生した。また、人件費を抑えた形で研究を進めることができたことも、余剰予算の理由の一つです。研究チーム内でのタスク分担により、人件費を削減することができた。その結果、繰り越し分として次年度での活用を考えている。この繰り越し分を次年度に活用することで、より効率的に研究活動を進めることができると考えられる。 次年度の予算については、引き続き研究や学会発表、論文発表に必要な費用として利用したいと考えている。具体的には、実験材料の購入や装置のメンテナンス、学会や研究会の参加費、論文投稿費用などに利用する予定です。これらの費用が必要不可欠であり、研究活動を円滑に進めるためには欠かせないものである。以上の理由から、次年度にも引き続き予算の支出が必要であると考えている。
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