研究課題/領域番号 |
22K16972
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
芦森 温茂 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60870459)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | PARP1 / RP / 網膜変性 / NAD / 老化 |
研究実績の概要 |
PARP1活性制御による網膜色素変性症の制御機構の解明を目標としていた本研究では、関連する論文に関して、筆頭著者として1報、Disease Models & Mechanismsに受理され(Volume 17, Issue 4 April 2024)、共著として3報の論文が受理されている。国内学会での発表を4件行い、国際学会での発表を1件行っている。他大学とのシンポジウムや招待セミナーなどを行い、研究内容の公表や発展性の向上を行った。なお本研究成果に関する論文発表や学会発表は他にも予定している。 本研究では、特に培養細胞における研究に関して進展があり、細胞死及び神経変性における病態へのPARP1またはNAD+の関係性を明らかにすることができた。また、これらのメカニズムについてもいくつかのパスウェイが関与する可能性を見出すことができた。本研究における成果は、網膜変性の進行における分子機構の理解を深め、その病態制御をこれまでとは異なった視点からアプローチできる可能性を提示するものとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、PARP1活性制御による網膜色素変性症の制御機構の解明を目標とした。 RP進行におけるPARP1の関与及び分子機構を詳細に理解するために、PARP1によるPoly ADP ribosylation(PAR)の標的となる因子をLC-MS/MSなどによる同定を行った。PAR化は多重修飾され分子量が大きく異なってくる。その関係でタンパク質同定はやや難航したものの、661w細胞におけるPARP1の標的因子を12個同定することができた。一方で、同定された因子の中でRPや神経変性への関与が報告されている因子は同定されず、かつ、いずれも生体内で多量に発現していると考えられるタンパク質が検出された。したがって、現在までにRP進行に関与するPARP1経路を分子的に明らかにするには至っていない。一方で、2022年 Fuらにより新規のPAR化タンパク質検出手法が報告されており、これら技術を用いることで、今回同定に至らなかった分子ひいては分子経路を明らかにできる可能性があると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
RPの原因遺伝子及び機序、またはRP進行を遅らせる治療薬の研究などは広く行われてきた一方で、RPとPARP1活性制御を結びつける本研究は新規性が高い。PAR化タンパク質の同定では、RP制御に関与する直接的な因子を発見するには至らなかったものの、近年報告されている手法を用いることにより、ブレイクスルーとなる潜在性がある。また、本研究で予想外に得られたPARP1の活性制御機構は、RP制御の枠を超えPARP1の新たな制御機構および分子機序を明らかにできる可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの作製に滞りが生じ、計画を後ろだおしにすることが望ましく、該当年度の実験計画の一部を次年度へと変更した
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