異所性リンパ節移植は解剖学的に通常リンパ節が存在しない部位へ血管柄付き遊離組織として移植することで、間質液を静脈系へ戻す生理的な治療方法である。異所性に移植されたリンパ節の機能に関する研究は、リンパ流が静脈系へ還流するという観点からの研究が主流であり、断裂されたリンパ流の再建という観点で考察された研究は少ない。研究者は異所性リンパ節移植を用いて破綻されたリンパ領域の間質液をリンパ循環が正常な領域まで誘導することでリンパ浮腫を改善させることを目標とし、移植リンパ節へのリンパ流の再構築を確認した。 マウス後肢の鼠径及び膝窩リンパ節を摘出し、リンパを破綻させ、リンパ破綻領域より近位、遠位にリンパ節を移植し、移植リンパ節へ間質液が流れるかをインドシアニングリーンと赤外線観察カメラで検証した。移植部位は下腹部、鼠径、後肢を選択し、リンパ節は血管柄付きモデル、遊離モデルを用いた。同モデルを用いてHIF-1αを投与した群を作成しリンパ流の誘導有無を観察した。すべての移植部位に対して血管柄の有無と関係なくリンパ流の誘導は認めなかった。また、HIF-1αを投与してもリンパ流の誘導は認めなかった。 マウス後肢の鼠径及び膝窩リンパ節を摘出するとリンパ流の鬱滞パターンが生じる。リンパ節を移植することによる鬱滞パターンの変化有無を観察した。リンパ節の移植部位は鼠径リンパ節と膝窩リンパ節の腹側中間部とした。リンパ節は遊離移植モデルを使用した。リンパ節摘出のみを行った群では膝窩へプーリングされる個体が3/8で観察され、鼠径へプーリングされる個体が5/8で観察された。リンパ節移植群では膝窩へプーリングされる個体が4/8で観察され、鼠径でLinearパターンで鬱滞される個体が2/8、移植リンパ節へ流れる個体が2/8で観察された。
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