研究課題/領域番号 |
22K17001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久本 芽璃 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (00754920)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | TRP / 機械的刺激受容体 / 顎骨 / 舌 |
研究実績の概要 |
顎骨は歯根膜を通じて歯とつながり、咀嚼時の垂直的、側方的な咬合圧が加わる。そのため、日常的な生活の中で最もダイナミックに機械的刺激を受ける骨組織である。顎骨における機械的刺激の偏りは、歯列、かみ合わせに影響を与える。そして、歯の喪失後には顎骨に加わる圧力が消失し、骨代謝に大きな変化が起こり、骨代謝バランスが崩れることで顎骨の過剰な吸収である顎堤吸収を起こす。このように成人になってから形態が大きく変化する骨組織は顎骨の他には存在しない。 常に複雑な機械的刺激を受けている顎骨は、他の骨とは異なった環境と考えられ、緻密に機械的刺激を処理する機構が存在すると考えられる。しかしながら、現在のところ顎骨特有の骨代謝機構は不明である。本研究では圧力を検出する機構として陽イオンチャネルTransient Receptor Potential (TRP) に着目し、申請者がこれまで構築してきた顎骨解析系を用いることで、顎骨に特有の圧力検出機構を明らかにすることを目的とする。 これまでの研究からTRPM8を候補分子の一つとして見出している。当該年度ではTRPM8に対するポリクローナル抗体を作製し、マウスの顎顔面領域における局在を免疫組織染色により解析した。その結果、TRPM8KO-GFP発現マウスの顎骨では、歯牙が未萌出の時期においてはGFP陽性反応は確認できなかったが、adultでは歯牙周囲の歯槽骨にGFPのシグナルが観察された。また、マウス舌におけるTRPM8の局在についても検証したところ、WTマウスの茸状乳頭の味蕾周囲の神経線維にTRPM8の発現が認められ、TRPM8KO-GFP発現マウスにおいても味蕾周囲の神経線維にGFPが発現していた。現在味蕾周囲のTRPM8陽性神経線維の投射元である神経節を検証するための研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで使用していた抗体が信頼性に欠けることが確認されたため、新たな抗体により実験を進めることとなった。また、顎骨だけでなく舌においてもTRPM8の局在と機能について解析を進めているため、当初の予定よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
マウスの顎骨および舌におけるTRPM8の局在と機能について、免疫組織染色、定量的PCR法、in situ hybridization法により解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の遅れに伴い次年度使用額が生じた。2024年度の物品費として使用する予定である。
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