研究課題
テクスチャー受容・認知を明らかにするためには、味や匂いなどの影響を排除した動物実験系が必要であることから、前年度はラット嫌悪条件付け学習を用いた粘性認知試験を確立し、英文誌に発表している。本年度は、粘性テクスチャーの付与が他のテクスチャー(粒子性)認知に与える影響を検討した。粒子性は粘性と異なり、ラットにて嫌悪条件付けを成立させることができなかった。そこで、グルコースを用いた嗜好学習試験にて粒子性認知を確認した。ラットはグルコースとフルクトースを繰り返し呈示すると、グルコースに対する嗜好性を獲得するが、グルコースと組み合わせたフレーバーに対して嗜好学習が成立する。これを利用し、グルコースと粒子を組み合わせることで、粒子への嗜好学習成立により粒子性認知を評価した。その結果、ラットはおよそ1.5 μmの微細粒子(微結晶セルロース粒子)の存在を認知した。ここで、粒子懸濁液にカルボキシメチルセルロースにて粘性を付与したところ、1.5 μm粒子の認知は認められなかった。この結果は、粘性テクスチャーが粒子性テクスチャー認知閾値を上昇させるという過去のヒトでの報告に一致している。食品テクスチャーには、粘性、粒子性、硬さや弾力性等様々な種類が存在するが、本研究結果から、複数のテクスチャーが共存した場合は、各テクスチャーがそれぞれを抑制または増強し認知される可能性が示唆された。
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Physiology & Behavior
巻: 277 ページ: 114486~114486
10.1016/j.physbeh.2024.114486
Journal of Oral Biosciences
巻: 65 ページ: 316~323
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