研究課題/領域番号 |
22K17022
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
内堀 雅博 東海大学, 医学部, 助教 (50749273)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Liquid biopsy / 口腔扁平上皮癌 / PDXモデル / 再発転移 / 遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
近年、がんの早期発見が可能だが、CTやMRIなどの画像検査においても検出限界は存在する。がんの早期発見が予後の改善における重要な因子であるため、検出限界以下のがんを捉える新たな技術として、Liquid biopsyが様々な領域で注目されている。口腔扁平上皮癌(Oral squamous cell carcinoma:OSCC)においてはその解析が遅れている。以前よりわれわれは邦人OSCCにおけるLiquid biopsyに関して解析を行い、臨床応用の可能性を検討してきた。しかし、診断精度を高めるには、特定の遺伝子変異の監視が必要であり、NOTCH1やTP53が監視対象の遺伝子の候補となる可能性を見出している。しかし、生体レベルの解析までは至っていない。今回、OSCC腫瘍の多検体の移植マウス(Patient-derived xenograft: PDX)を樹立し、PDXモデルを用いて生体レベルで、Liquid biopsyがOSCCの経過観察のツールとして臨床応用できるかどうかを解析する。 手術前、手術後、その後3ヶ月ごとの採血を行い、その血漿よりcfDNAを抽出し、臨床データと濃度の解析を行っており、本年度は最長術後2年までの解析を終えた。死亡する2、3ヶ月前より急激にcfDNA濃度が上昇することから、死期の予測には有効である可能性があると考える。今後も継続して解析していく予定である。 また、PDXモデルの樹立を今年度は行っている。15例行ったが、1例のみ樹立することができた。今後これを継続して行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
cfDNA濃度の解析は順調に進んでいるが、PDXモデルマウスに関しては当初予定していた樹立例数よりも少ない。そのためやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
cfDNAの濃度解析に関しては次年度も継続して行っていく予定である。 PDXモデルに関しては引き続き樹立を目指して行っていくが、もし樹立が困難な際は、より高度な免疫不全状態であるScidマウスやNOGマウスなどの使用も検討する。また、樹立したマウスの腫瘍DNAとドナー患者の腫瘍組織のDNAの遺伝子変異解析を現在行っているため、次年度はこれの解析を行う。また、樹立したマウスのcfDNAの回収も行っているため、同様に次年度以降に遺伝子変異解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画では年間30例ほどのPDXモデルマウスの樹立を目指していたが、樹立が困難であり、マウスの飼育費が予定よりも少なく済んだ。引き続きPDXモデルマウスの樹立を次年度以降も行っていく予定である。
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