研究課題/領域番号 |
22K17029
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
坂口 和歌子 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (50420972)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢 / 関節リウマチ / Alcaligenes. faecalis / IgA / 歯周病 / SKGマウス |
研究実績の概要 |
ヒトのパイエル板に共生するAlcaligenes faecalis(A. faecalis)が腸管内で免疫グロブリンA (IgA) の産生に重要な働きを有し、粘膜免疫を増強することがわかっている。IgA産生に着目し、歯周病原細菌と腸内細菌叢との関わりを検討し、RAの発症や進展への関与を口腔細菌叢と腸管内細菌叢との関係性から考察することを目的とする。 まず、マウスの唾液と糞便を採取し、5週齢メスのSKGマウスに抗菌薬を水に入れ3日間投与、翌週からA. faecalisをエサに混ぜ、週二回、トータル10回投与し、PCRで糞便中にA. faecalisが存在することを確認した。関節炎を発症させるマンナン20mgを各マウスに投与し、関節炎指数を計測した。指や関節に腫脹や発赤を認めるもの、発赤のみで腫脹を認めないものもいた。4週間、A. faecalisの投与は継続し、パイエル板、関節、唾液、血清、顎下腺を採取した。もう一群は、同様の手法で、抗菌薬、A. faecalisを投与し、Porphyromonas gingivalis (P. gingivalis)を3回口腔内に投与した。A. faecalis継続下、マンナンを投与し4週後同様の手法でサンプリングした。現在、もう一群、同系統のマウスでP. gingivalisとA. faecalisを投与した群で進行中である。また、昨年度、マウスにA. faecalisを投与した群の唾液、糞便のIgA値をELISA法で測定したところ、唾液中のIgA値はA. faecalis投与前と比較して投与後は明らかな増加を認めた。糞便においては、増加傾向を認めたが個体によりバラツキを認めた。また、パイエル板の組織標本では、小腸内に発達したリンパ組織を認めた。唾液は、IgA値のモニタリングをするうえで、バラツキなく測定できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A.faecalisを投与し、腸管内に定着させるまで、投与法や投与する頻度など試行錯誤で行い、その都度、糞便からDNA抽出を行いPCRで確認し、時間を要した。現在の手技で投与後2週間以降、A.faecalisは、一定の値を保てるようになった。そこまでに時間を要したが、これによりELISAの結果からも、唾液中のIgA値が個体によるバラツキなく増加しいい結果が得られた。この手技をもとに歯周病菌、マンナンの投与など3群に分けて研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
A. faecalisのみ投与した群(IgA群)、A. faecalis+マンナン投与(IgA+RA)群はサンプリングまで終了している。A. faecalis+歯周病菌(P. gingivalis)+マンナン投与(IgA+P.g+RA)群とマンナン+歯周病菌投与(RA+P.g)群を現在進行中で研究の進行状況や、一部の結果についてはおおむね良好である。サンプリング後の解析方法などは、免疫学の専門家である辻典子先生と随時ミーティングを行い相談させていただいている。今後は、IL-17や唾液中のIgA値などの測定や組織標本の作製も行い、免疫学的側面、形態学的側面から関節リウマチと歯周病、腸管免疫の関係を解析していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は最終年度であり、サンプルの解析をこれから行う上で、抗体やELISAなど物品や薬品を買う必要がある。また、結果によっては、論文予定であり投稿費、英文校正費などを考慮し今年度へ回した。
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