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2023 年度 実施状況報告書

VEGF産生と抗炎症効果を期待した根尖性歯周炎治療に対するCAPEの発展的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K17041
研究機関徳島大学

研究代表者

蔵本 瞳  徳島大学, 病院, 医員 (70876060)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード根尖性歯周炎 / CAPE / VEGF / 骨芽細胞 / 抗炎症作用
研究実績の概要

根尖性歯周炎は、根管内の細菌感染が根尖歯周組織に波及することで惹起される炎症性疾患であり、病状の進行に伴い根尖周囲の骨吸収が顕在化する。根尖性歯周炎の治療は根管内の病原因子を除去することであり、治療が奏功すれば根尖部の炎症が消退するとともに吸収された骨が修復に向かうが、一方で、通法の根管治療では治癒が見込めないことがある。
Caffeic acid phenethyl ester (CAPE)はプロポリスの生理活性物質であり、抗炎症作用や抗菌作用など多彩な作用を有している。血管新生に関わる成長因子であるVascular endothelial growth factor (VEGF)は、マウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)において、アルカリフォスファターゼ活性や骨分化マーカーの発現を上昇させるという報告がなされており、骨リモデリングに重要な役割を果たしている。近年、CAPEにVEGF誘導作用があることが報告されているが、根尖性歯周炎治療にCAPEを用いようとする試みはない。本研究ではMC3T3-E1細胞へ及ぼすCAPE作用を明らかにすることを目的として研究を行っている。
MC3T3-E1細胞におけるMAPK のリン酸化に関与するCAPEの効果を確認するために、Western blot解析を行った。その結果、CAPEがp38 MAPK、ERK、およびSAP/JNKのリン酸化を誘導することが確認できた。また、CAPE処理後の各種組織修復関連因子発現について解析するためにreal-time PCR解析を行った。その結果CAPEは、VEGFに加えてConnective tissue growth factor (CTGF) およびPlatelet-derived growth factor (PDGF)-αのmRNA発現を有意に誘導することが確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

MC3T3-E1細胞において、CAPEがVEGF誘導に関与するシグナル伝達経路について、Western blot法での解析において、p38 MAPK、ERK、およびSAP/JNKのリン酸化を誘導することが確認できた。
またCAPEは、VEGFだけでなく、組織修復関連因子であるCTGFやPDGF-αの発現を誘導することも突き止めている。現在のところ、本研究はおおむね順調に進展しているものと考えている。

今後の研究の推進方策

【ラット根尖性歯周炎モデルにおけるCAPEの歯槽骨に与える影響の解析】
in vitroで得られた結果をもとに、CAPEが歯槽骨に及ぼす影響および安全性をin vivoにて検証していく。Wistar系ラットに実験的根尖病変を誘発させ、マイクロスコープ下で感染根管治療を行い、マイクロCTを用いての歯槽骨の形態の観察や、骨形態計測ソフトを用いての根尖病変の体積については3次元的に解析を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

学会のための旅費を計上していたが、成果発表が次年度になったために次年度使用額が生じた。また、培養に用いる試薬やキットを計画的に有効利用することができたため、新たに購入する消耗品が当初の計画より少なくなった。
次年度は、学会発表や論文投稿を行う予定であり、その際に繰り越し分および次年度の研究費を使用する予定としている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 2級コンポジットレジン修復のキーポイント2023

    • 著者名/発表者名
      武川 大輔, 米倉 和秀, 蔵本 瞳, 伊田 百美香, 細川 由樹, 細川 育子, 細川 義隆, 菅 俊行, 中西 正, 保坂 啓一
    • 雑誌名

      Journal of Oral Health and Biosciences

      巻: 26 ページ: 8~12

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Caffeic acid phenethyl ester (CAPE) がマウス骨芽細胞様細胞の組織修復関連因子発現に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      蔵本 瞳, 中西 正, 武川 大輔, 三枝 克啓, 保坂 啓一
    • 学会等名
      日本歯科保存学会 2023年度春季学術大会(第158回)
  • [学会発表] Interleukin-22 がヒト歯髄細胞の炎症性メディエーター発現に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      三枝 克啓,中西 正,蔵本 瞳,武川 大輔,保坂 啓一
    • 学会等名
      第4回象牙質歯髄治療学会学術大会
  • [学会発表] Sudachitinがヒト歯髄細胞の炎症メディエーター発現に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      三枝 克啓, 中西 正, 蔵本 瞳, 細川 義隆, 細川 育子, 武川 大輔, 保坂 啓一
    • 学会等名
      日本歯科保存学会 2023年度春季学術大会(第158回)

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公開日: 2024-12-25  

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