研究課題/領域番号 |
22K17045
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 茉那美 (中里茉那美) 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (10823841)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 誤嚥性肺炎 / 歯周病原細菌 / ケモカイン / DPP |
研究実績の概要 |
認知症高齢者の増加で益々懸念される誤嚥性肺炎は,歯周病原細菌をはじめとする口腔細菌に起因されるが,その分子機構はいまだ明らかにされてない.誤嚥性肺炎の感染初期では好中球や肺胞マクロファージにより速やかに細菌は排除されるが,その機能はケモカインやサイトカインなどの可溶性メディエーターにより制御されている.これら可溶性メディエーターを不活性化する因子として細胞表面のdipeptidyl peptidase(DPP)4 が挙げられ,ヒトの慢性歯周炎に代表されるPorphyromonas gingivalis もDPP4 をはじめ複数のDPP を発現している.申請者はこれまでに P. gingivalis DPP4がヒトDPP4 と同様にケモカインであるCXCL12,CXCL2,CXCL10,CCL2の切断能を認めた. このことから,感染局所においてP. gingivalis DPPが可溶性メディエーターを介した生体防御機能の減弱化を惹起することが強く推測されたため,P. gingivalis が保有する他のDPPがケモカインを切断する可能性を検討し,歯周病が誤嚥性肺炎の病態形成/進行につながる可能性を検討した. 本年度においてP. gingivalis DPP7とP. gingivalis DPP11の組換え体によるケモカイン切断能を質量分析装置で検討した結果,P. gingivalis DPP7 によりCXCL12,CXCL16,CXCL10等の複数ケモカインの切断を認めた.本研究結果により,P.gingivalis がケモカインの制御にさらに関与すると示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
次年度までに切断されたケモカインによる好中球とマクロファージの遊走能の低下を検討する予定だったが,細胞培養に必要な定期的な研究時間が十分に確保できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
前年度は教育職で定期的な研究時間の確保が困難だったが,本年度は研究員として一定の時間を確保する.P.gingivalis DPP 群によりケモカインによる好中球とマクロファージの遊走能の低下を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は一定の研究時間の確保が難しく,次年度の方が時間を確保しやすいことを考慮し一部確保した.
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