研究課題/領域番号 |
22K17060
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
堀越 励 広島大学, 病院(歯), 助教 (90911587)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 軟骨分化 / 軟骨内骨化 / 骨再生 |
研究実績の概要 |
歯周炎は、歯槽骨の吸収を伴う口腔内の炎症性疾患であり、歯牙喪失の最も大きな原因である。そのため骨の再生を目的とした様々な研究が行われており、当研究室でも間葉系幹細胞と細胞自身が産生した細胞外基質で形成された細胞集塊C-MSCsを開発し、研究を行ってきた。そして軟骨分化誘導C-MSCsが骨再生能を持つことを明らかにしたが、治癒期間が長期に及ぶという欠点も発見された。そこで本研究では、より短期間で骨再生効果を得られる治療法の開発を目的とした。 本研究では、軟骨誘導C-MSCsでは移植後に生じていた軟骨内骨化を、移植前に誘導したC-MSCsを用いることで骨再生期間の短縮を期待した。C-MSCsを軟骨誘導培地で培養後、骨分化誘導培地で培養することで骨殻様の石灰化を生じたC-MSCsを用いて移植実験を行った。 軟骨内骨化誘導C-MSCsをマウスの頭蓋冠2mm骨欠損モデルへと移植し、4週後に回収後、CT画像解析および組織学的解析を行ったところ、細胞塊内部で骨形成が観察された。この結果から、C-MSCs内の骨形成は軟骨誘導C-MSCsと比較して早期に生じていることが示唆された。さらに、骨形成部には血管の形成も確認されたことから、宿主の細胞浸潤が促進され、より短期間での骨再生効果が得られる可能性が示された。 本研究の目的には、軟骨誘導C-MSCsと比較した軟骨内骨化誘導C-MSCsの有用性を評価することも含まれているため、現在は移植後4週以降の観察によって軟骨誘導C-MSCsとの比較を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体外で軟骨誘導培地および骨分化誘導培地でC-MSCsを培養することで、期待した通り早期の骨化が確認された。また、今後予定しているイヌの骨欠損モデルについても、実験手技を習得した研究協力者と容易に相談可能な環境であるため、本研究は概ね順調に経過していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
マウス頭蓋冠の骨欠損モデルへの移植実験を継続し、軟骨内骨化誘導C-MSCsと軟骨誘導C-MSCsの骨再生能および治癒期間を比較する。また、イヌの歯根分岐部骨欠損モデルへの移植を行い、軟骨内骨化誘導C-MSCsの歯周組織再生能を評価する方針である。
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