研究実績の概要 |
本年度は,昨年度から引き続き対象動物であるクロトー遺伝子欠損型(α-Klotho(-/-))マウスを搬入し,切歯象牙質に対して粘弾性挙動の測定および顕微ラマン分光分析を実施した. 粘弾性挙動は,多要素粘弾性モデルに硬組織を近似させる方法(Watanabe et al., Journal of Mechanical Behavior Biomedical Materials, 2024)を用いることで,弾性応答と粘性応答に区別して評価することが可能となった.老化モデルマウスの弾性応答が対照群より低かったことに加えて,主要な粘性応答はコントロールマウスの半分以下であることが明らかになった.このことより老化モデルマウスの硬組織はエネルギー吸収の低下が壊れやすさ(破壊靭性)につながっていることが推察された. 顕微ラマン分光分析では,老化モデルマウスにおいてAGEs(ペントシジン)の増加および石灰化度の低下を認めた.これはエナメル象牙境に近い,つまり生成されてからの時間経過が長い象牙質部分で顕著であり,比較的生成されて新しい歯髄付近の象牙質では有意差を認めなかった. 現在はSHG(第二高調波発生)顕微鏡観察用のサンプル作成まで終了しており,今後はそちらの解析からコラーゲン線維の配向性の違いを観察していく予定である.コラーゲン線維の配向性と機械的特性の低下との関連について明らかにし,学会発表・論文投稿まで目指す.
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