研究課題/領域番号 |
22K17095
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
駒走 尚大 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00878267)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 顎骨骨髄由来間質細胞 / MBMSC / 骨再生 / 骨形成マーカー |
研究実績の概要 |
骨増生治療を成功させるためには、移植前に細胞の持つポテンシャルを把握しておくことが求められるが、これまでは明確なエビデンスがないままに治療が行われている。また、間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cells:MSCs)による骨再生治療は長らく研究されてきたが、生体内での骨形成能を見極める絶対的な指標は見つかっていない。そこで、MSCsが初期培養時に細胞外へ分泌するタンパク質が、骨形成能の判定に使用できるのではないかと考え、顎骨骨髄由来間質細胞(Maxillary/Mandibular Bone Marrow Stromal Cells:MBMSCs)が細胞外に分泌する骨形成能の指標となりえるタンパク質を同定することを目指す。 これまでの研究活動よりMBMSCsの培養上清中のCHI3L1が培養早期におけるMBMSCsの骨形成能ネガティブマーカーとして活用できる可能性があることが分かり、そのメカニズムを解明しようとしたが、ヒトから採取したMBMSCsは有限であり、メカニズムを解明するには細胞数が足りない。 そこで、新たなMBMSCsを複数株用いて骨形成能予測マーカーの探索を行うこととした。まず、今回使用するMBMSCsのin vivoでの骨形成能を評価する必要があるため、MBMSCsを骨補填材と混和して移植体を作製し、免疫抑制マウスの頭部骨骨膜下に移植した。8週間後に移植部位を含む組織を回収し、HE染色を行い、骨の新生量を分析した。さらにタンパクアレイキットを用いて網羅的に分泌タンパクの分泌を行った。しかし、今年度行ったタンパクアレイでは骨形成能を予測できるような分泌タンパクは同定できなかった。 今後は別種類のタンパクアレイキットやELISA法を用いて高い骨形成能、または低い骨形成能を有するMBMSCsが分泌するそれぞれのタンパク質を同定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
過去に実験で使用していた細胞は数が少なくなってきたため、新たなMBMSCsのin vitroでの骨分化能、in vivoでの骨形成能を分析する必要性があり、分析を行った。そして、骨形成能が高いMBMSCs、低いMBMSCsがそれぞれ多く分泌するタンパクを同定するために、タンパクアレイキットを用いて分泌タンパクの同定を行ったが、骨形成能を予測できるような因子は発見できなかった。 そのため、MBMSCsが細胞外に分泌する骨形成能の指標となりえるタンパク質を同定し、同タンパク質がMBMSCsや周辺の組織に及ぼす影響やそのメカニズムを明らかにするまでには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
新たなMBMSCsの移植実験、切片製作を行い、移植による細胞の骨形成能を分析を行っている。タンパクアレイキットを用いて各分泌タンパクの解析したが、骨形成能を予測できるような因子は発見できなかった。 タンパクアレイキットは他にもいくつか種類があるので、今後はそれらを使用して骨形成能を予測できるような分泌タンパクを発見する。また、その発見した分泌タンパクについてELISA法を用いて高い骨形成能、または低い骨形成能を有するMBMSCsがそれぞれどの程度分泌しているかを分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
MBMSCsを用いてタンパクアレイを行い、骨形成能が高いMBMSCs、骨形成能が低いMBMSCsがそれぞれ分泌するタンパクを同定しようとしたが、期待した結果が得られず、同定したタンパクをELISA法にて分泌量を分析することができなかった。そのため、実験に遅れ、当初の計画で購入予定であったELISAキット、ウェスタンブロッティング時の抗体の購入が遅れており、次年度使用額が生じた。今年度は昨年度購入予定であったELISAキット、ウェスタンブロッティング時の抗体、新たなタンパクアレイキットを購入予定である。
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