研究実績の概要 |
本研究の目的は、重度の口腔乾燥症を発症しているシェーグレン症候群患者から末梢血中のCD4+ T細胞を単離し、単離したCD4+ T細胞に対しiPS細胞の誘導に必須の因子であるOct3/4, Sox2, c-Myc, Klf4をエピソーマルベクターを用いて遺伝子導入してiPS細胞を樹立することである。そして、樹立したiPS細胞からオルガノイド技術を用いて唾液腺オルガノイドを分化誘導すること目指す。これまでシェーグレン症候群による唾液腺組織の損傷へ対しては薬剤の応用など、治療法が限られてきた。しかし、本研究においてシェーグレン症候群由来のiPS細胞や唾液腺オルガノイドが誘導可能となれば創薬への応用の可能性に加え、傷害を受けた腺組織の再生医療の開発へと繋がると考える。また、同時に疾患メカニズムの解明にも繋がると考えられる。 本年度は昭和大学歯科病院口腔外科での診療で口腔乾燥等の口腔内科的疾患を有する患者の診察を行った。その結果、1名のシェーグレン症候群患者の診察に従事している。症状としては口腔乾燥やドライアイなどの外分泌線における機能低下がメインであり、その他関節リウマチやエリテマトーデス等の自己免疫疾患は認めなかった。検査結果としては、ガムテストで5ml/10分であり、抗SS-A、SS-B抗体は陽性であった。今後は、上記のような症状を有する患者を目標人数の5人まで増やす必要がある。
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