研究課題/領域番号 |
22K17116
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
矢野 良佳 九州歯科大学, その他部局等, 特別研修員 (10911050)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | CAD/CAM / エナメル質 / ブロック / 接着 |
研究実績の概要 |
歯科材料における硬さや弾性などの力学的性質は、クラウンやインレーなどの歯冠修復物(補綴物)にとって重要な性質である。生体模倣の観点から考えると、歯冠修復物の力学的性質は歯質と同じが良い。しかし、既存の歯科材料において、力学的性質が歯質と同じものは存在しない。このような既存の歯冠修復物の力学的生体適合性の低さは、破折や脱離などの臨床的な失敗の原因のひとつである。力学的性質に加え、接着は支台歯や材料の脱離や破損を防ぐために重要である。そこで本研究では、歯質と同じ力学的性質と高い接着性を兼ね備えた新規CAD/CAM用ブロックを開発し、歯冠修復物に応用することを目的とする。 本年度は、ジルコニア骨格の共連続構造をもつポリマー含浸セラミックスの作製に取り組んだ。まず、ジルコニアナノ粒子を蒸留水に加え、自公転ミキサーにて攪拌・脱法することで均一な高濃度スラリーを調整した。得られたスラリーをシリコーンモールドに流し込み、乾燥させることで成形体を得た。これを電気炉にて焼成することで多孔質ジルコニアブロックを得た。多孔質ブロックに、MDP、UDMA、TEGDMAおよび重合開始剤(過酸化ベンゾイル)を混ぜたモノマー液を含浸・加熱重合することで新規ポリマー含浸セラミックスを得た。新規材料は三点曲げ試験とビッカース硬さ試験を行なった。その結果、新規材料は300MPaを超える曲げ強さとエナメル質に近い弾性係数とビッカース硬さを示すことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規CAD/CAMブロックの作製に取り組み、エナメル質に近い力学的性質をもつ材料の作製が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
新規CAD/CAMブロックの物理化学的性質および接着性について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置を購入予定だったが、生産の遅延により納品が次年度に繰越となった。
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