研究実績の概要 |
睡眠時ブラキシズム(Sleep Bruxism: SB)の正確な診断は臨床的に重要で,Audio/video睡眠ポリグラフ検査(PSG),咬筋EMGを付与した簡易睡眠検査装置(Portable PSG),シングルチャネルのEMGなどを用いて客観的な測定データをもとに診断が可能であるが,高いコストや技術的な煩雑さを有するため,未だに問診や口腔内所見をもとにした診断が一般的で,診断の信頼性は高くはないのが現状である.ここで,SBの管理に標準的に用いられているオクルーザルスプリントの咬合面に生じた摩耗を定量化し,SBレベルとの関連性を明らかにできれば,オクルーザルスプリントの形態変化を指標としてSB評価が可能である.本研究の目的は,オクルーザルスプリントの咬合面に生じた摩耗を歯科用ラボスキャナーでデジタルデータとして定量化し,簡便にSBの臨床診断を行えるシステムを構築することである. 本年度は,SBの臨床診断基準より,一次性SB患者と診断された被験者に対し,簡易睡眠検査装置にてSB確定診断を満たした計50名を目標に被験者を募ったが,現状は10名であった.インフォームドコンセントを取得した上で,上下顎歯列の印象を行い,OSを製作した.製作したOSは咬合調整を行い,60日間の装着を指示した.15日間の順応期間終了後の16日目を基準日とし,基準日(1日目),15日目,30日目,45日目のOS咬合面をD810を用いスキャンを行い,得られたデータは,全てSTLフォーマットのデータに変換して出力し,D810で得られたそれぞれのSTLデータを計測ソフトウェア(PolyWorks Inspector, PolyWorks Japan, Tokyo, Japan)にインポート後,得られた形態データを模型部分など必要としない部位は削除し,再度STLファイル形式で保存した.なお,昨年の12月には,USCでの研究成果発表を行い,現在までの途中経過をDrクラークに報告した.また.現段階での研究成果に対し,論文執筆を行った.
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