研究課題/領域番号 |
22K17125
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
前田 由佳利 北海道大学, 大学病院, 医員 (40884622)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | カーボンナノホーン / ミノサイクリン / インプラント周囲炎 / 局所薬物送達療法 / 共培養 |
研究実績の概要 |
歯科分野においては,インプラント治療は予知性ならびに効果の高い治療であるが,インプラント周囲炎が,インプラント体の早期脱落を引き起こすなど臨床における大きな問題となっている.新たなインプラント周囲炎へのアプローチとして,局所薬物送達療法のため薬剤担持をさせたカーボンナノホーン(機能化CNHs)を作製し,その生体応答を検証する.本研究では機能化CNHsによる持続的な抗菌性の保持及び骨形成の促進を図ることを目的とし,下記について検索する. 1) 多種薬剤担持による機能化CNHsの生成 2) 機能化CNHsの免疫及び骨形成に係る影響について細胞と口腔内細菌のco-culture 3) ラットを用いたin vivoでの免疫応答 ヒト細胞と口腔内細菌の共培養を行うに当たり、まず予備実験としてマウス細胞を用いた.機能化CNHsの作製にはミノサイクリンを用いた.機能化CNHsとMC3T3-E1細胞との培養では細胞毒性を惹起せず,ALP活性を有することを確認した.またStreptcoccus mutansと機能化CNHsの培養では,ミノサイクリンの静菌性を保持したままであることは既に発表済みである.またインプラント周囲炎に応用すべく,雄性Wister系ラットの上顎左側第一大臼歯を抜去し,チタンインプラントを即時埋入した.オッセオインテグレーション獲得のため4週経過後にインプラント周囲歯肉溝にリガチャーワイヤーを巻き付け歯周炎モデルを作製した.歯肉溝には食渣の停滞が認められ,組織像では炎症系細胞の浸潤と歯肉溝上皮の肥厚化が確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は予備実験として骨芽細胞とマクロファージ各々で機能化CNHsを作用させた場合と,MC3T3-E1とマウスマクロファージの共培養させた場合で比較し,それらの共存環境下においても炎症を惹起することなく,分化が促進されるかを検証する予定であった.しかし研究者の診療業務が多忙を極め、研究遂行の時間が十分に確保できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
今後は令和4年度に遂行できなかった予備実験を上半期に行う.下半期はさらに口腔内細菌の播種による効果について検証していく. またラットの上顎臼歯部に埋入したインプラント周囲溝に,ゼラチンハイドロゲルに包埋した機能化CNHsを填入し,in vivoでの免疫応答及び骨形成について組織学的に明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
カーボンナノホーンを始めとする消耗品が予定よりも廉価で購入することができたり、無償で譲渡してもらうことができたために、物品費が低くなり、次年度使用額が生じた。また近年の社会情勢により、学会がオンライン参加となり、旅費が発生しなかった。 今後は令和4年度に遂行できなかった予備実験を上半期に行う.下半期はさらに口腔内細菌の播種による効果について検証していく.
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