研究実績の概要 |
本年度はシラン処理および新規MMA含有プライマー処理が大臼歯部用CAD/CAM冠用レジンブロックに対する接着性レジンセメントの接着性に与える効果を検討した. 試料作製:大臼歯部用CAD/CAM冠用レジンブロック(カタナアベンシアPブロック:P82)および試作ブロック(フィラー半減ブロック:P41, フィラーなしブロック:P0)を,7mm×7mm×4mmに切断し,耐水研磨紙にて研磨後,アルミナブラスト処理した.各試料に対し新規MMA含有プライマー処理(MMA)またはシラン処理(Si)を行った後,接着性レジンセメント(PanaviaV5)を高さ4mmになるまで2mmずつ積層し光照射を行った. 微小接着引張試験: 作製した試料を37°C水中に24時間浸漬した後,接着界面に直交するように0.7mm×0.7mmの試料を切り出し,小型卓上試験機 (EZTest)にてクロスヘッドスピード1.0 mm/minで微小接着引張試験を行った. P82群においてはSi群が新規MMA含有プライマー処理であるMMA群より高い接着強さを示した(P<0.001)一方で,フィラー含有量の少ないP41群ではSi群とMMA群間に有意差を認めず,フィラーを含まないP0群ではMMA群はSi群より有意に高い接着強さを示した.また,MMA群において,フィラー含有量が少ないほど高い接着強さを示した(F0vs.F41:P<0.001, F41vs.F82:P<0.001). 以上の接着試験の結果から,新規MMA含有プライマー処理は,大臼歯部用CAD/CAM冠用レジンブロックのマトリックスレジンに対して接着性を示し,ブロックのフィラー含有量の影響を受けることが明らかとなった.
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