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2023 年度 実施状況報告書

神経周膜のバリア機能修復は口腔外科術後神経合併症や神経障害性疼痛の治療に有効か?

研究課題

研究課題/領域番号 22K17155
研究機関神戸大学

研究代表者

松村 恵実  神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50867538)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード神経周膜 / バリア機能 / 口腔外科 / 神経障害性疼痛 / 神経麻痺 / JCAD
研究実績の概要

歯科口腔外科領域では、智歯抜歯や外科矯正等術後の神経合併症が生じる手術が多くあります。下歯槽神経の知覚異常の発症率は、智歯抜歯後では0.26~8.4%、外科矯正である下顎枝矢状分割術では40%との報告があり、難治性です。神経障害性疼痛が問題となるのは癌やウイルス感染症です。末期癌では75%が中等度から重度の疼痛を自覚し、ウイルス感染症では帯状疱疹関連痛はもとよりCOVID-19による神経障害性疼痛が問題となっています。術後神経合併症や神経障害性疼痛の治療には薬剤やレーザー治療、ブロック治療等がありますが、現時点で有効性が確立したものはありません。
よって、より安全かつ有効な治療法や薬剤開発を最終的な目的とし、従来のものとは異なる分子(受容体や血管新生関連分子)や組織(神経周膜)等に着眼し、以下の研究を行います。(1)神経障害性疼痛に有効な可能性がある受容体が神経のバリア制御に関与するか明らかにする。(2)神経周膜の制御に関与する新規分子(血管新生関連分子)の役割を解明する。(3)受容体や新規神経周膜バリア機能制御分子が、ヒトの生体内で病変の有無や年齢などの背景により発現の差があるか検討する。(4)受容体や新規分子がウイルス感染時の神経周膜のバリア機能破綻を抑制するか検討する。(5)神経周膜バリア機能制御遺伝子改変動物で神経障害性疼痛がどう変化するか検討する。
2022度は本申請研究の初年度で、まず上述の(1)~(3)の研究を施行しました。その結果、特定の受容体と新規神経周膜関連分子のヒト下歯槽神経周膜における発現を免疫染色で確認し、同様にそれらの発現をヒトの神経周膜培養細胞でも確認しました。
2023年度は特定の受容体(EGFR)と新規神経周膜関連分子(JCAD)のヒト下歯槽神経周膜における発現とヒト神経周膜培養細胞を用いた実験結果を論文にまとめ、採択されました。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本申請研究では、歯科口腔外科領域で生じる智歯抜歯や外科矯正などの術後神経系合併症や、神経障害性疼痛が問題となるのは癌やウイルス感染症に付随する痛み(末期の癌患者さんの痛みや帯状疱疹関連痛、COVID-19による神経障害性疼痛など)に対するより安全かつ有効な治療法や薬剤開発を最終的な目的とし、従来のものとは異なる分子(受容体や血管新生関連分子)や組織(神経周膜)などに着眼して研究を行います。
現在予定している研究のうち、特定の受容体(EGFR)と新規神経周膜関連分子(JCAD)のヒト下歯槽神経周膜における発現とヒト神経周膜培養細胞を用いた実験結果を論文報告しました。研究全体の予定に鑑みると、現在の実験の進捗状況は概ね順調である判断しました。

今後の研究の推進方策

本申請研究の目的を達成するために、2024年度は動物を用いた実験や2023年度に論文化したもの以外の神経周膜に関連する分子の探索や、EGFR及びJCAD等の神経周膜バリアにおけるいまだ未知の機能の探索を行う予定です。現在2023年度に論文化したもの以外の神経周膜に関連する分子について、興味深そうな候補分子の選定が進んでおり、今後データのさらなる収集や論文化を目指します。

次年度使用額が生じた理由

2023年度はヒト組織の免疫染色と培養細胞実験に対し結果的に注力することとなり、予定していた動物実験を行いませんでした。上述の通り、ヒト組織で現在解析を進めている結果を今後培養細胞レベルで確認していく実験が必要となると予想しており、よって次年度に繰り越すことに致しました。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Expression of JCAD and EGFR in Perineurial Cell?Cell Junctions of Human Inferior Alveolar Nerve2023

    • 著者名/発表者名
      Hiraoka Yujiro、Matsumura Megumi、Kakei Yasumasa、Takeda Daisuke、Shigeoka Manabu、Kimoto Akira、Hasegawa Takumi、Akashi Masaya
    • 雑誌名

      Journal of Histochemistry & Cytochemistry

      巻: 71 ページ: 321~332

    • DOI

      10.1369/00221554231182193

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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