研究実績の概要 |
研究初年度の2022年度は、以下の結果を得た。 1. 軟骨細胞株HCS-2/8におけるメトホルミン(Met)作用の最適濃度・時間の検討を行なうとともに、Metを添加した場合の軟骨保護効果を検証した。Met濃度0-50 mMにおいて、濃度依存的に時間経過に伴い細胞増殖が抑制されたが、各濃度で細胞障害性は認めなかった。また0-10 mMでMetを添加したところ,アルシアンブルー染色性の細胞外基質は5 mMまで濃度依存的に顕著な蓄積の促進を認めたが,10 mMでは低下した。 2. HCS-2/8細胞に0-10 mM Metを添加したところ、軟骨分化を促進するUrothelial cancer-associated (UCA) 1, Cellular Communication Network Factor (CCN) 2, COL2A1, miR-18aの遺伝子発現は濃度依存的に上昇し、5 mMにおいて最高となったことから、5mM Met添加後の経時的な遺伝子発現を解析した。Met添加後、24時間でmiR-18a発現が上昇し、次いで48時間でUCA1発現の上昇を認めた。また、CCN2, COL2A1もMet添加後、経時的に発現が上昇した。 3. HCS-2/8細胞にUCA1 siRNAの導入により内因性UCA1をノックダウンしたのちMetを添加し、UCA1のMetによる発現促進を抑制したところ、UCA1発現抑制により、miR-18aの発現が低下しただけでなく、MetによるmiR-18aの発現促進作用が消失した。 4. HCS-2/8細胞にUCA1を過剰発現し、経時的な遺伝子発現を解析したところ、miR-18a-5p発現は24時間で低下し、その後上昇した。CCN2, Sox9発現は24時間で上昇し、その後低下した。ACAN, COL2A1発現はUCA1過剰発現により低下した。
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