研究課題/領域番号 |
22K17163
|
研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
田中 純平 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (90772913)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | MRONJ / BMP-3b |
研究実績の概要 |
Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw(MRONJ)はほとんどがビスホスホネート(BP)や抗RANKL抗体などの骨吸収薬の使用によって顎骨に生じる難治性の有害事象である.これまでMRONJ研究に取り組み,MRONJの治療法の一つとしてPTHが効果的である可能性を示してきた.しかしながら,現実問題としてテリパラチドのようなPTH製剤の全身投与は発がん性の問題から使用期間が限定されていること,また,MRONJの誘因として乳がんや前立腺がんなどの骨転移や,それに伴う疼痛緩和のために骨吸収抑制剤が投与されているケースが多いにも関わらず,担がん患者にPTHを全身的に用いることができないなどのパラドクスを生じる.そのため,PTHの補助療法,さらにはPTHとは異なるアプローチによるMRONJの治療法を開発していく必然性は依然として残っている. そこで我々はBMP-3bに着目した.BMP-3bはBone Morphogenetic Proteinの名前に反して,In vitroでBMP-2が誘導する骨芽細胞分化を抑制する.以上から,BMP-3bはBMP-2だけでなく,PTHの骨形成能も間接的に抑制している可能性があり,BMP-3は骨粗しょう症や骨再生医療,さらにはMRONJ治療の標的として候補となり得る.しかし,In vivoの骨代謝におけるBMP-3bの機能は全くわかっていない. 本年度,BMP-3bのコンベンショナルノックアウトマウスを入手し,大腿骨のマイクロCT解析を行ったところ,ノックアウトマウスで骨量が増加していた.BMP-3bは骨形成を担う骨芽細胞に発現し,骨吸収を担う破骨細胞にはほとんど発現していなかったことからBMP-3bはIn vivoにおいても骨形成を抑制している可能性が示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vivoの骨におけるBMP-3bの機能をすで見出すことができたから.
|
今後の研究の推進方策 |
BMP-3bの詳細なデータ並びにMRONJとの関連性を調査していく.
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で旅費の支出が予定よりも少なかった.来年度はCOVID-19も終了するため十分に出張旅行と実験が実施できることが予想される.そのため今年度の残金とあわせても計画通りの予算の使用ができると考えている.具体的にはIn vivoにおける適切な試薬の使用, 血清中の骨代謝マーカー測定の外部委託を引き続き行いつつ, 実験・手術手技のさらなる安定により, 適切に研究費を使用していく.
|