研究課題
我々はテロメアDNA構造に高い結合特異性をもつ環状アントラキノン(cyclic anthraquinone;cAQ)が、培養細胞レベルで正常細胞よりも癌細胞に対して強い増殖抑制効果を示すことを確認してきた。今回cAQの安全性について個体レベルで検討した。5週齢(約120g)の雌雄のラット各3匹に対して1000mg/kg用量で単回静脈内投与し,投与後 14日まで一般状態の観察及び体重測定を行い,観察終了後に病理学的検査を実施した。性差の検討および科学的な評価を行うために雌雄各3匹のラットを用いた。対照群は溶媒に用いる生理食塩水とし、1000mg/kgの用量で実験するため、1群2(雌雄)×3匹×2群=12匹の動物を必要とした。投与する薬物は新規化合物 cAQを使用した。cAQはこれまでに実施した動物実験(ヌードマウスに対して一定期間内に複数回腹腔内投与)にて安全性が確認されている。ラットに麻酔下にて無菌的に尾静脈からcAQを静脈内投与した。麻酔はイソフルランを吸入麻酔として使用した。投与後14日まで一般状態の観察及び体重測定を行い,観察終了後に安楽死させ病理学的検査を実施した。cAQを静脈内投与したラットはコントロール群と比較して明らかな異常所見を認めなかった。病理組織学的にも毒性を疑うような異常所見を認めなかった。今後はcAQの薬物動態などについて研究を進めていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
実験計画に沿って研究が進行している
研究計画に沿って、円滑な研究を進めていく。
次年度も研究計画および使用計画に沿って研究を進める。
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pnasnexus
巻: 2 ページ: 211
10.1093/pnasnexus/pgad211