研究課題/領域番号 |
22K17176
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北浦 義昭 東京大学, 大学院医学系研究科, 客員研究員 (00816895)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 骨形成不全症 / ペプチド |
研究実績の概要 |
卵黄から抽出したペプチドを経口投与することによって、骨形成を促進することをラットを用いた初期検討で新たに見い出した。経口投与で骨形成が促進できれば、注射による治療に対して、乳幼児や高齢の患者の負担が大きく低減できる。骨形成不全症は、乳幼児から骨折を繰り返し、低身長になる先天性の疾患であり、先天性であるため、対象患者は乳幼児が中心となる。そこで、本ペプチドが骨形成不全症に対して治療効果が得られるか検討を開始した。まずは、経口投与で効果が得られることから、腸管での消化、吸収後の体内動態を調べ、骨形成に直接寄与する消化後の断片ペプチドを同定した。さらに、Ⅰ型骨形成不全症モデルマウス(Mov13)を使用して骨形成効果確認実験を進めた。本モデルマウスは、通常のマウスと比べてtypeⅠコラーゲンの量が約半分となる遺伝子変異を持ち、老化進行度が早く寿命は半年強に過ぎず、生殖能力も低い。そこで、本実験の効果的遂行のため、体外受精を実施し、生態実態も明らかにした。同時にヘテロ型遺伝子マウスを必要数確保するため、遺伝子型検査方法も確立し、今後の骨形成不全症研究の基盤を作ることが出来た。以上の予備検討を基盤にして、Mov13マウスを繁殖飼育し、Calvairaから前骨芽細胞を抽出、上記ペプチドを添加し、各種遺伝子発現の変化を調べた。この結果、本ペプチドを添加した骨芽細胞に於いて、typeⅠコラーゲンの顕著な発現上昇を確認した。以上の結果は、本ペプチドが骨形成不全症の治療に効果があることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨形成不全症という難治性希少疾患を研究対象としているため、研究に必要な動物モデルが新たに必要となるが、Ⅰ型骨形成不全症モデルマウス(Mov13)の生態、繁殖方法、遺伝子型検査方法など、今後の骨形成不全症の研究に必要な共通基盤を確立することができた。 本研究計画に於いては、まずは細胞レベルの実験で、骨形成不全症に対する本ペプチドの可能性を確認し、次の段階の動物実験で、実際の骨量、骨質改善効果を検証、さらにそのメカニズムを解明、最終段階では、毒性実験を進めていくことを計画していた。 現段階では、本研究に必要な予備検討は、全て計画通り達成しており、細胞レベルの実験でも期待通りの結果を得ている。対象モデル動物の繁殖が困難であったため、動物実験への着手がやや遅れたが、現在順調に進捗しており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究に必須のモデル動物の基盤は全て確立済み。細胞実験レベルも所期の結果が得られ、本ペプチドが骨形成不全症治療薬としての可能性があることを確認した。 現在進行中の動物実験も順調に推移しているが、最終的に骨形成不全症の治療薬としての完成度を得るためには、本ペプチドの作用メカニズムを明確にすること、及び安全性の確認、検証が必要である。 今後は細胞内のシグナル伝達経路の明確化と、細胞及び動物を用いた毒性試験をベースとして安全性の確認実験も早期に開始したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
試験用薬剤(SAG)を予定金額より安く購入することができた。 さらに、納期がやや遅れたため、使用予定の動物や細胞など関連材料の使用量も予定を下回った。
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