研究課題/領域番号 |
22K17183
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
奈良井 節 鳥取大学, 医学部, 助教 (40569266)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 薬剤関連顎骨壊死 / 骨芽細胞 / ヒト間葉系幹細胞 / 細胞医薬 |
研究実績の概要 |
薬剤関連顎骨壊死(Medication-related osteonecrosis of the jaw: MRONJ)は、骨粗鬆症や癌の骨転移治療薬であるビスフォスフォネート製剤や抗RANKL抗体または抗悪性腫瘍治療薬である血管新生阻害薬の使用に伴う難治性の顎骨壊死である。世界中で様々な治療法が試みられているがMRONJの正確な発症機序は未解明なため治療に難渋する場合も多い。近年、副甲状腺ホルモン(Parathormone:PTH)を間歇的に投与することでMRONJを治療しうることが示され、その機序はPTH刺激による骨芽細胞前駆細胞の活性化と骨芽細胞への分化の促進の可能性が示唆された。このことは、食事や会話に不可欠な顎骨の機能を低下させ、生命の維持と生活の質を障害するMRONJの治療戦略として、細胞ベース治療の可能性を開いた。しかし、PTH投与により骨腫瘍性病変発症のリスクがあり、悪性腫瘍の既往歴患者への使用が禁止されている。また投与可能な患者の場合でも、週一回/連日間隔での間歇的投与の煩雑性や使用期間が一生涯で2年間に制限されている問題がある。そのため、PTHに代わる骨芽細胞分化を起点とした新規のMRONJ治療戦略の創出が急務である。本研究では、ヒト間葉系幹細胞をin vitroで骨分化させ新規骨分化表面マーカーを指標に純化した骨芽細胞をヒト化MRONJモデルマウスに移植する。そしてMRONJに対する細胞ベースの治療がPTHだけでは奏功しない症例に対する補完的な選択肢を見出し、効果的な新規治療戦略を開拓する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者らが開発した、骨芽細胞の内在性の骨分化マーカーであるBGLAPを緑色蛍光タンパク質(EGFP)でラベリングしたhiMSCs(モニター細胞)(Narai et al 2020)を使用して、骨分化誘導後にフローサイトメトリーでEGFP陽性細胞(骨芽細胞)が分取可能であった。 分取したEGFP陽性細胞について網羅的遺伝子解析(RNA-seq)を施行し、骨分化関連の遺伝子の連動性の確認や複数の骨芽細胞に特異的な表面マーカー候補を取得することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
骨芽細胞に特異的な表面マーカー候補について、抗体実験などを行い検証する。 臨床応用可能な正常ヒト間葉系幹細胞(hMSCs)は由来(骨髄、脂肪、歯髄など)により骨分化への性質が異なることが知られている。そのため、同定した骨芽細胞に特異的な表面マーカーが実際のhMSCsで同じように働きうるのかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
骨分化誘導実験回数が見込みより少なく済んだため差額が生じた。 差額については抗体実験へ使用する予定である。
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