研究実績の概要 |
DNAメチル化レベルと組織・細胞の老化の程度から求められる生物学的年齢には強い相関性があり,DNAメチル化レベルより求めた生物学的年齢(エピジェネティッククロック)は老化の指標の一つである. 加熱式タバコが歯周組織の老化に対して及ぼす影響は不明である.本研究では,加熱式たばこ抽出物(HTP)が,マウス歯肉の老化にどのような影響を生じさせるかを明らかにするため,DNAメチル化を網羅的に解析し,エピジェネティッククロックに適用させた. HTPにはPloom TECH+(JT)水抽出液を用いた.C57BL/6Jの6週齢マウスをYoung,80週齢マウスをOldとし,それぞれのControl群には水(DDW)をHTP群にはHTPを1ヶ月間経口投与した.Youngに水を投与したものをControl(C)群,HTPを投与したものをHTP(H)群とし,Oldに水を投与したものをAging(A)群,HTPを投与したものをAging・HTP(AH)群とした.H群およびAH群にはDDW 500 mlに対しHTP 1 mlを添加したものを自由飲水させた.1ヶ月後,上顎口蓋歯肉からDNAを抽出した.ライブラリー調整後,RRBSを実施した.データからHorvath,Meerのクロックを適用させエピジェネティック年齢を予測した. C群,H群,A群,AH群の順にHorvathクロックでは,18.38±8.15,22.02±8.75,27.66±1.83,33.05±4.96 weeks,Meerクロックでは,33.74±0.02,33.74±0.04,33.90±0.08,34.02±0.02 weeksであった.これらの中で,MeerクロックのA群およびAH群間に統計学的な優位差が認められた(*p<0.05 ). HTPの刺激により特に老齢マウスのOral Agingに影響を与えている可能性がある.
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