研究課題/領域番号 |
22K17223
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
野口 隆弘 東北大学, 大学病院, 助教 (20907430)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / TNF-α / 矯正学的歯の移動 / RANK / エピジェネティクス |
研究実績の概要 |
破骨細胞形成の際にRANKLとTNF-αが相乗的に作用することが報告されている。申請者らの研究でTNF-αを破骨細胞前駆細胞に作用させるとRANKLの受容体であるRANKの発現が増加することが明らかになっている。また、TNF-αは免疫反応で重要な転写因子NF-kBを活性化させることでRANK発現を促進することも見出している。一方、単球をTNF-αで刺激した際に、NF-kBはヒストンメチル化酵素であるSET7/9と結合して核内に移行し、ヒストンH3K4のメチル化を起こすことでヘテロクロマチンからユークロマチンへの移行を促し、炎症に関連する遺伝子の転写の活性化を行っていることが報告されている。本研究では、破骨細胞前駆細胞におけるTNF-αによるRANK発現の増強のメカニズムにSET7/9が及ぼす影響について解明することを目的とする。まず、マウス骨髄細胞から破骨細胞前駆細胞を培養し、タンパクを回収後、SET7/9の抗体を用いてウェスタンブロットを行うことで、破骨細胞前駆細胞中のSET7/9の発現を確認した。次に、破骨細胞前駆細胞のSET7/9をリポフェクション法によりノックダウンし、TNF-α刺激時のRANK発現に及ぼす影響をリアルタイムPCRにより解析した。結果、TNF-αにより増強されたRANK発現が、SET7/9のノックダウンにより減少することが明らかになった。また、近接ライゲーションアッセイによりSET7/9とNF-kBのサブユニットであるp65のタンパク質相互作用が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SET7/9とp65が破骨細胞前駆細胞中で複合体を形成していることを確認するための共免疫沈降実験の条件検討に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
破骨細胞前駆細胞に対するRANK遺伝子プロモーターのNF-kB結合領域の解明を行う。その後、TNF-α刺激によりNF-kBおよびSET7/9がRANK遺伝子発現領域に動員されるかをChIPアッセイにより解析する。また、NF-kBおよびSET7/9によるRANK遺伝子領域のヒストンメチル化制御の解明をChIPアッセイにより解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度購入予定だった試薬が海外発注品のため、予定より発送に時間がかかっていることに伴い、次年度使用額発生した。今後予定している実験の試薬および実験動物の購入費として使用する。
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