研究課題/領域番号 |
22K17241
|
研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
西村 貴子 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70468908)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | グラスアイオノマーセメント / ハイドロキシアパタイト |
研究実績の概要 |
ICCMSは、虫歯プロセスの段階を分類検出および評価システムであるICDASに基づいた虫歯管理の新しい概念である。我々はICCMSが推奨する従来のグラスアイオノマーセメント(GIC)にハイドロキシアパタイト(HAp)を添加することにより強化することができ、新規材料をアパタイトアイオノマーセメント(AIC)と命名した。 申請者はGICに多孔質球形ハイドロキシアパタイト(HApS)を添加し、GICの機械的強度とフッ化物徐放量を同時に向上させることに成功し、引き続き、この新規材料であるAICの物理化学的特性およびその臨床応用の効果について様々な視点から研究を進めている。 今回の申請においてAICの基材として用いたGICは、透明性が向上したFujiIX GP EXTRA(GC社 、以下IX-Ex)で、HAp粉末は多孔質で平均粒径約20μmのHAp(HApS)を使用し、AIC試料の表面性状、色彩学的評価、またそれらの経時的変化やコーヒーやカレーなどの外来因子による着色性などGICやAICの色や透明性を色彩学的理論に基づいて把握し、臨床に許容可能であるのかどうか検討を行うこととした。 今回の申請においては、これまでの研究から得られたHApSの至適添加率をもとに、HApS添加率がAIC硬化体のコーヒーやカレーなどの外来因子による着色性など、また表面にナノフィラー含有レジンコーティング材を用いた際の試料表面について評価および検討を行うこととした。色差の評価はハンディ型分光色差計 NF-555(日本電色工業)を用いて、計測を行うこととした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度、ハンディ型分光色差計 NF-555(日本電色工業)の入荷まで期間を要し、具体的な数値の計測を行うことが出来なかったため、入荷までの期間は適切なサンプルのサイズに関して検討を行った。その結果、崩壊試験のサンプル作成で使用しているモールドを用いることで浸漬溶液ごとの色の変化の測定を行い、それと同時に浸漬溶液に対する崩壊率の計測も行うことが可能であると考え、予備実験を終了した。 同時に多数のサンプルの作成を可能にする為、モールドを追加発注しているが、既存のものと比較すると着脱に不具合を生じており、現在、業者と検討中である。
|
今後の研究の推進方策 |
申請者はこれまでに、IX-Exが最も強さを向上し、高いフッ素イオン溶出量を示したHApS添加率は18 %であることを確認している。よって2023年度では、同時に多数のサンプル作成を行う環境が整い次第、これまでの研究から得られたHApSの至適添加率をもとに、HApS添加率がAIC硬化体の色調に与える影響に関して具体的に計測を行い、さらには日常生活で摂取する様々な飲食物から受ける色調変化に関して検討していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、2022年度に参加予定であった学会がWEB参加となり、旅費が未使用になったこと、また使用予定であった機器が、2022年度中に納品が困難となり、次年度に改めて申請を行うこととなったため、差額が生じた。
|