研究実績の概要 |
今年度は日本国内の複数の自治体を対象とした大規模コホート調査である日本老年学的評価研究の参加者のうち、2010年調査に参加した65歳以上の自立高齢者34,510人を10年間追跡したコホートデータを用いて、歯の喪失と死亡リスク上昇との関連における体重減少及び体重増加の媒介効果について、検討を行った。媒介効果については、潜在アウトカムに基づいて媒介効果を推定できる因果媒介分析を用いて、自然な間接効果を推定し、歯数と死亡リスクとの関連の指標である全体効果のうち、自然な間接効果の占める割合についても算出した。 対象者のうち、追跡期間内に死亡した人の割合は14.0% (n=4,825)であり、2010年時点で歯数が20本以上であった人は39.5%(n=13,639)、19本以下であった人は60.5%(n=20.871)でした。2010年‐2013年間で体重が5%超減少した人は17.2%(n=5,927)、体重が5%超増加した人は8.4%(n=2,907)であった。因果媒介分析を用いた解析の結果、歯数が『20本以上』と比較した際に、『19本以下』では死亡リスクが約1.28倍(95%信頼区間:1.16-1.40)統計学的に有意に高かった。このうち、媒介効果である5%超の体重減少による自然な間接効果はハザード比で約1.03倍(95%信頼区間:1.02-1.04)、5%超の体重増加による自然な間接効果はハザード比で約1.003倍(95%信頼区間:1.0001-1.01)であり、ともに統計学的に有意な自然な間接効果が観察された。しかし、総合効果のうち、5%超の体重減少による自然な間接効果はその約13.1%を占めていた一方、5%超の体重増加による自然な間接効果はわずか1.3%であった。
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