研究課題/領域番号 |
22K17281
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
田村 好拡 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (30770789)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症 / 口腔細菌叢比較 / 歯周病 / 大規模コホート研究 / 社会系歯学 |
研究実績の概要 |
超高齢社会における我が国において、アクティブエイジング達成の鍵の1つは骨粗鬆症の予防である。 本研究では骨粗鬆症患者と健常者の口腔細菌叢を比較することで、潜在的な骨粗鬆症リスク評価を目的としている。 本年度は本研究が参画する岩木健康増進プロジェクト/プロジェクト健診に参加し口腔環境のデータ取得を行った。口腔内診査は歯数、歯周病検査、口腔細菌の判定の為の唾液・舌苔の採取、オーラルディアドコキネシスの測定を住民約800人に対して行った。補助事業期間中は一貫して同様にデータを取得し縦断データとする予定である。 これまでに得られたデータを用いて統計解析を行ったところ、Stenotrophomonas属やAggregatibacter属が骨粗鬆症群において口腔細菌における割合が有意に増加していたが、現時点では骨粗鬆症のリスクとなるような特有の細菌叢を特定するには至っていない。 Stenotrophomonas属は日和見感染を引き起こす細菌であり、骨粗鬆症による免疫低下や低栄養で定着した可能性がある。また、Aggregatibacter属は歯周病の原因であり、やはり歯周病と骨粗鬆症の関連が示唆された。その他にも10菌種程度が明らかに最近の割合が増加しており、やはり骨粗鬆症患者は細菌叢が変化するものと考えられた。 今後の研究で更にデータを蓄積し、再検討する予定である。また、特有の細菌・細菌叢に加え、骨粗鬆症のリスク因子を加えて統計学的にリスク評価を行う事としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに得られたデータを用いて統計解析を行ったところ、Stenotrophomonas属やAggregatibacter属に加えて10菌種程が骨粗鬆症群において口腔細菌における割合が有意に増加していることが分かり、やはり骨粗鬆症では細菌叢が変化する可能性が示唆され、研究目的の一端に達した。しかしながら、特有の細菌叢の特定には至っておらず追加検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
口腔内診査は歯数、歯周病検査、口腔細菌の判定の為の唾液・舌苔の採取、オーラルディアドコキネシスの測定は次年度以降も継続して行い縦断データとする。 縦断データを用いて細菌叢比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で旅費が少なく計上された一方で、口腔内診査に用いる消耗品の購入費が想定より多くなっている。翌年度分への持ち越し金は消耗品の購入に充てる予定である。
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