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2022 年度 実施状況報告書

疑似ランダム化比較試験による口腔の全身影響の解明と医療経済評価指標の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K17285
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

松山 祐輔  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (80830124)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード歯科学 / 疫学 / 公衆衛生学
研究実績の概要

本年度は居住地域の水道水中フッ化物濃度のばらつきを自然実験とした疑似ランダム化比較試験の研究を複数実施した。日本の出生コホートデータに水道統計から得た居住地域の水道水中天然フッ化物濃度の情報を結合し、追跡期間中の転居を考慮するためにCross-Classifiedマルチレベルモデルをもちいて水道水中天然フッ化物濃度とう蝕治療経験の関連を解析した。解析の結果、フッ化物濃度が高い地域ではう蝕治療割合が低かった(0.10 ppm,0.10-0.19 ppm, 0.20-0.29 ppm, >=0.30 ppmの地域でそれぞれ35.0%, 35.4%, 33.4%, 32.3%)。すべての共変量を調整後、水道水中の天然フッ化物濃度が0.1 ppm増加するごとに、う蝕治療の割合が3%低下した。さらに、米国成人の大規模疫学データに居住地域の水道水フッ化物濃度の情報を結合し、水道水フロリデーションへの曝露を自然実験とし残存歯数と循環器疾患の因果関係を分析した。操作変数法をもちいた分析の結果、幼少期の水道水フロリデーションにより成人期の歯の喪失が0.61本減少し、喪失歯が一本増えることで心疾患既往のある確率が1%ポイント増加することが明らかになった。一方、喪失歯と脳卒中の既往は統計的に有意ではないものの、喪失歯が1本増えることで脳卒中既往のある確率が0.2%ポイント増加した。並行して遺伝的リスクスコアをもちいたメンデルランダム化分析による自然実験研究も進めている。さらに、口腔疾患の疾病負担を他の疾患と比較可能にするアルゴリズム開発のため、日本国民を対象としたWeb調査データをもちいて口腔関連QoL得点と効用値(utility score)の関連の分析に着手した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた自然実験研究のためのデータセット作成および論文執筆を複数実施できたため。

今後の研究の推進方策

引き続き疫学データベース解析を実施する。特に口腔関連QoLの効用値変換アルゴリズム開発およびメンデルランダム化分析の研究を完成させることを目指す。

次年度使用額が生じた理由

国際学会での発表を延期したことおよび、投稿した論文が想定よりも査読に時間がかかり受理にいたらなかったため。研究の進捗状況を考慮し、論文掲載料等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] Radboud University Medical Center(オランダ)

    • 国名
      オランダ
    • 外国機関名
      Radboud University Medical Center
  • [国際共同研究] University of Wuppertal(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      University of Wuppertal
  • [雑誌論文] Tap water natural fluoride and parent‐reported experience of child dental caries in Japan: Evidence from a nationwide birth cohort survey2023

    • 著者名/発表者名
      Matsuyama Yusuke、Fujiwara Takeo、Aida Jun
    • 雑誌名

      Community Dentistry and Oral Epidemiology

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1111/cdoe.12847

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Causal Effect of Tooth Loss on Cardiovascular Diseases2022

    • 著者名/発表者名
      Matsuyama Y.、Jurges H.、Listl S.
    • 雑誌名

      Journal of Dental Research

      巻: 102 ページ: 37~44

    • DOI

      10.1177/00220345221120164

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 日本における水道水天然フッ化物濃度と子どものう蝕の関連:21世紀出生児縦断調査の分析2022

    • 著者名/発表者名
      松山祐輔、藤原武男、相田潤
    • 学会等名
      第81回日本公衆衛生学会総会

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公開日: 2023-12-25  

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