研究課題/領域番号 |
22K17288
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
磯部 悠 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (30848627)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 機械学習 / 個人識別 |
研究実績の概要 |
2011年の東日本大震災における犠牲者の約10%の身元を歯科所見から特定できたが、この身元確認は手作業で行われており、多くのマンパワーを要した。今後発生が危惧されている南海トラフ大地震では、東日本大震災の約20倍の被害となる可能性があり、現在の方法では十分に対応できない恐れがある。そのため多数の犠牲者が出る大規模災害では、多くの犠牲者からの身元確認が大きな課題となる。大規模災害時の身元確認において、歯科情報の活用が有効な手段であることは多数報告されている。しかしながら、法歯学の領域ではICT(Information and Communication Technology)の活用が進んでおらず、遺体の歯科的な記録や生前資料の取りまとめ、さらには、それらの突合・照合が全て手作業で行われており、迅速に個人を割り出すことが困難である。 本研究では機械学習を利用した画像による個人識別の有用性を検証することにより身元確認の迅速化と作業プロセスの簡素化を目指し、再現性のある個人識別法であるかを検討する。本研究の目的は、法医解剖業務の歯科所見や死亡時画像診断としてコンピューター断層エックス線撮影法で得られたオルソパントモグラフィの画像から手作業による個人識別と機械学習による個人識別の有用性を評価することである。さらに本研究を通して得られた知見は、身元確認作業をより迅速化・簡便化が期待でき、より早期に身元を判明することを目指す。 当該当年度では、法医解剖事例のうちの死亡時画像診断としてコンピューター断層エックス線撮影法が行われており、生前と死後の画像がそろった事例および年齢、性別、生前・死後の撮影期間などの情報を収集し、データベース化を遂行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は下記に示す順に遂行する計画である。 ①研究対象事例の画像の収集のデータベース化 ②上記事例の歯科的所見による個人識別の実施とCNNの分析 ③歯科的所見による個人識別と機械学習による個人識別の有用性の比較 2022年度は上記①を実施した。法医解剖事例のうちの死亡時画像診断としてコンピューター断層エックス線撮影法が行われており、生前と死後の画像がそろった事例を収集した。死亡時画像診断としてコンピューター断層エックス線撮影法が行われていない事例、生前と死後の画像がそろっていない事例、18歳以下の子供の事例は除外した。死亡時画像および年齢、性別、生前・死後の撮影期間などの情報を収集し、データベース化を遂行した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は上記②上記事例の歯科的所見による個人識別の実施と画像による機械学習を使用したMobileNet-v2、ResNet50、VGG16、ResNet50、Inception-v3、InceptionResNet-v2、Xceptionの6つの有名なCNNアーキテクチャに基づいて、歯科用個人識別の精度分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本口腔科学学会総会、日本小児口腔外科学会総会、日本口腔外科学会総会・近畿地方会はオンライン開催であったため、旅費が発生しなかった。また、2023年2月にコンピューター機器を発注したが、納期が2023年5月中旬となったため。
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