研究課題/領域番号 |
22K17316
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
中野 洋輔 関西医科大学, 医学部, 助教 (40776530)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 医用画像 / 3Dプリンタ / DICOM Viewer / 三次元再構築像 / オンライン教材 |
研究実績の概要 |
ご遺体を用いた解剖学実習は人体の三次元構造の理解には必要不可欠であるが、コロナ禍の影響により解剖学実習その通常実施が困難となっている。このため、医学生ための人体の三次元構造の理解度向上を目的とした解剖学実習を補完するコンテンツ開発が望まれている。本研究では、解剖学履修学年を対象とした①学生自身による医用画像の三次元像再構築における人体の三次元構造の理解度向上や②医用画像の利用法の早期修得を目的とした"特別課題"を課し、特別課題において優秀な結果を修めた学生に、更に③3Dプリンタを用いた三次元再構築モデル出力による人体の三次元構造の理解度向上や3Dプリンタ出力過程の早期修得を目的とした課題を課す。自己評価に基づくアンケート調査や、解剖学試験成績との相関性を統計学的に解析することで、課題の学習効果を検証する。これにより、医用画像や3Dプリンタを用いた人体の三次元構造の理解に有用なオンライン教材の開発を目指す。 令和4年度は腹腔臓器、特に腎臓とその周辺構造についての特別課題を実施し、約82%の学生が参加した。そのうちの上位約10%の成績優秀者については、作成した三次元再構築像を元に3Dプリンタによる実物模型を作製する課題も実施した。参加した学生にアンケート調査を実施し、データを収集したほか、2021年度に実施した特別課題のデータ解析を行い、論文として報告を行った(DOI:10.5361/jkmu.72.35)。また、第128回日本解剖学会全国学術集会においても本研究成果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
①医学部学生自身が行う医用画像の三次元像再構築による人体の三次元構造の理解度向上効果の検証[令和4~7年度]と②医学部学生自身が行う医用画像のハンドリングによる医用画像利用法の学習効果検証 [令和4~7年度]においては、令和4年度実施を予定していた膵臓から、腎臓を対象とする医用画像を取り扱う特別課題へと変更したが、約82%の学生が参加し、十分なデータを収集することができた。 また、③医学部学生自身が行う3Dプリンタを用いた医用画像三次元再構築モデル出力による人体の三次元構造理解度向上の検証[令和4~8年度]においても、当初の予定よりも多くの学生が参加したため、予定よりも多くのデータを収集することができた。 さらに、令和3年度に実施した同様の特別課題のデータについて収集と解析を実施し、論文として報告した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は概ね研究計画通りに進んだ一方で、所属機関の共通機器として使用可能な3Dプリンタだけでは、より発展的な学習課題に対応できない可能性があることも分かった。このことをうけ、令和4年度に予定していた3Dプリンタ用の追加ライセンスの購入を見送り、令和5年度に当初の計画に加え、この点を再検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関で所有している大型機器である3Dプリンタの追加ライセンスを購入予定だったが、当初想定していた研究内容をより発展させることができる可能性が出てきたため、令和4年度は追加ライセンスの購入を見送った。令和5年度以降に、現行の3Dプリンタでは出力できない樹脂と、それを出力可能な小~中型の3Dプリンタの購入費用として使用する計画を立てている。
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