研究課題/領域番号 |
22K17322
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯泉 由美 (香川由美) 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (50932307)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 患者への共感 / 患者のストーリーテリング / 医学教育 / 患者中心の医療 |
研究実績の概要 |
医師の「患者への共感」は、患者中心の医療を実践するうえで重要な資質であり、医学生の患者への共感を効果的に育む科学的根拠に基づいた教育方略の確立が課題となっている。患者が病気体験を講演する「患者のストーリーテリング」は、医学生の患者への共感を改善する示唆が得られており、患者参加型の教育の普及が期待される。しかし、これまで医学部で行われてきた他の教育方法よりも効果的かは明らかになっていない。本研究は、医学生にとって教育効果が高く、患者と大学にとっても実施可能性が高い、患者への共感の教育方略を科学的根拠に基づき確立することを目指し、患者のストーリーテリングによる医学生の患者への共感の改善効果について、①先行研究で効果が報告されているドキュメンタリー映像を用いた教育よりも効果が高いのか、②大学に赴けない患者がオンラインで話しても対面授業に劣らない効果があるのか、多施設共同のクロスオーバー無作為化比較試験で検証することを目的として進めている。 初年度である令和4年度は、無作為化比較試験の準備段階として、文献レビューおよび、先行して実施した前後比較デザインによる研究成果の論文発表および学会発表に取り組んだ。具体的には、患者のストーリーテリングの医学生の患者への共感の教育効果の大きさの目安は小程度の効果量であるとの知見を得た。また、教育効果の持続性を検証する期間の目安として6か月程度の追跡期間を設ける必要があるとの知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、初年度に研究デザインを固め医学生20名程度の参加による探索的な介入試験を実施する予定であった。しかし、研究デザインの検討のための文献レビューを進めるなかで、研究申請段階には見つけられていなかった当事者のナラティブが他者の行動変容に影響を与える概念の関連性を示した理論的枠組みを見つけたため、当初の研究計画を見直し測定する変数や測定尺度などの再検討を行った。そのため、初年度は研究デザインの検討に重点をおき、探索的な介入試験は次年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度の本調査(無作為化比較試験)の実施向けて、令和5年度に探索的な介入試験を行う予定である。
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