研究課題
本研究は、社会の高齢化や生活習慣の変化により増加の一途をたどっている心疾患患者において、本邦で実施可能な心不全治療の費用対効果を検証し、さまざまな状況下における最も費用対効果の高い心不全治療戦略を確立することを目的としている。本年度は、恒久的ペースメーカ植込み患者における遠隔モニタリングの費用対効果を検証した。ペースメーカ管理において、遠隔モニタリングは不可欠なツールである。しかしながら、その費用対効果に関しては世界的にも十分な検証が行われていない。そこで研究者は本邦の保険診療を基にシミュレーションモデルを構築し、遠隔モニタリングの費用対効果を検証し、どのような患者で費用対効果に優れるかを明らかにした。その知見は2023年3月に開催された日本循環器学会学術集会で報告し、論文を国際的な学術誌に投稿中である。現在は虚血性心疾患患者をテーマにした費用対効果分析を計画中である。また、分析に不可欠な日本人心不全患者における患者背景やQOLスコアに関する情報が決定的に不足している現状を改善すべく、文献の体系的レビューを進めている。現在、システマティックレヴューおよびメタ解析を計画し、プロトコール論文を投稿中である。プロトコール論文が完了次第、本解析に移る予定である。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、ペースメーカ患者における遠隔モニタリングの費用対効果分析を行い、その結果を学会で報告し、論文としてまとめ投稿中である。また、虚血性心疾患患者をテーマとした新しい費用対効果分析にも取りかかっている。また、並行してQOLスコアに焦点を当てたシステマティックレヴューおよびメタ解析も進めており、プロトコール論文を投稿中である。当初の計画通りに進行しており、おおむね順調に進展していると考える。
現在、本邦の虚血性心疾患患者におけるカテーテル治療をテーマにした費用対効果分析を立案、計画中である。既にモデルの原案およびデータ収集は完了しており、解析に取りかかる段階である。今年度中に結果を学会で報告し、論文執筆を開始する計画である。また、心疾患患者におけるQOLスコアに関するシステマティックレヴューおよびメタ解析の本解析を進める予定である。本年度中に解析を終え、学会で報告し、論文執筆を開始する計画である。
2022年度は研究計画立案が主であった。そのため、当初分析にかかる予算や論文購入費が当初の予定を下回った。研究計画は完了し、2023年度に本格的に分析を開始する予定であるため、翌年度分と併せて利用させていただく予定である。また、2022年度は新型コロナウイルス感染が終息しておらず、主要学会等の開催がオンライン形式であったため、当初想定した学会参加費などが下回った。2023年度以降は現地開催が想定されるため、今後は計画通りに使用させていただくことを想定している。
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