研究課題
本研究課題は本邦における循環器診療、特に心不全診療に関する費用対効果分析を推進することである。本年度はペースメーカ患者における遠隔モニタリング管理の費用対効果分析を行った。近年、植込みデバイス管理において、遠隔モニタリングの重要性が増している。患者の通院負担の軽減やイベントやデバイストラブルの早期発見などに有効であることが報告されており、最新のガイドラインにおいても高い推奨度が明記されている。しかしながら、その費用対効果に関しては十分な検証がなされていなかった。そこで今回、日本の保険診療に基づいて、ペースメーカ管理における遠隔モニタリングの費用対効果分析を施行した。結果として、通常のペースメーカ管理においても遠隔モニタリングは費用対効果に優れており、特に中等度以上のリスク因子を持つ患者で特に費用対効果が高いことが明らかになった。この研究成果は日本循環器学会の総会で発表し、国際的な学術誌である「Journal of Cardiology」に報告、掲載された。その他にも、冠動脈疾患に対するカテーテルインターベンションの際に使用される冠動脈イメージングの費用対効果分析なども行い、血管内イメージングの使用が費用対効果に優れることを明らかにした。研究成果は日本心血管インターベンション治療学会の総会で発表し、現在論文を執筆中である。また、本邦における費用対効果評価の総論を愛媛医学に投稿、掲載された。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、本邦の保険診療に基づいた循環器診療における複数の費用対効果評価を行っている。昨年度は1本の原著英語論文を発表し、現在も1本の論文を執筆中である。また、費用対効果評価に欠かせないQOLスコアに関するシステマティックレヴューにも取り組んでいる。プロトコールが学術雑誌に掲載され、現在解析中である。その他にも複数の研究が進行中であり、進捗具合は順調であると考える。
引き続き本邦における循環器診療に関する最新データの収集および結果の統合を行う。そのデータを基に、本邦における心疾患治療の費用対効果を評価し、さまざまな状況下における最も費用対効果の高い治療戦略を模索していく。同時に、QOLスコアに関するシステマティックレヴューを完結させる。
新型コロナウイルス感染の余波により、多くの国内外の学会がWeb開催を余儀なくされたため、当初想定されれていた学会参加に伴う旅費等の費用がかからなかったことで影響したと考えられる。今後は多くの学会が従来通りの現地開催になるものと予想されており、助成頂いた費用を今年度の学会参加費等に使用させていただく予定である。また、現在進行中の研究に必要な経費として利用させていただく予定である。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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