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2022 年度 実施状況報告書

日本における鞭虫症の感染源がニホンザルであることを立証し、感染予防対策を提唱する

研究課題

研究課題/領域番号 22K17357
研究機関麻布大学

研究代表者

城山 光子  麻布大学, 生命・環境科学部, 講師 (50908001)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード寄生虫 / 土壌伝播蠕虫 / 鞭虫 / 人獣共通感染症 / ニホンザル / Trichuris trichiura / Macaca fuscata
研究実績の概要

土壌伝播蠕虫(soil-transmitted helminth: STH)の制圧に成功した日本では、寄生虫予防法が1994年に廃止された後、集団レベルでの虫卵検査が行われなくなって久しい。2017年にSTH感染の現況を調べるため、全国の682人を対象に高感度のreal-time PCR法により、回虫、鉤虫、および鞭虫の特異的DNAの検出が試みられたが、陽性例は全く検出されていない。
その後、STHの1つである鞭虫では、2019年に集団感染例が報告され、翌2020年には孤発例が連続して報告されるなど、感染源不詳の症例報告が継続している。このような背景から、研究代表者は、2020年に報告された南東北地方の鞭虫症例の虫体の分子同定を依頼された。その結果、本虫体から、ヒト由来ではなく、ニホンザル由来の鞭虫の塩基配列と酷似する所見が得られた。しかしながら、ヒト由来の鞭虫とニホンザル由来の鞭虫の分子系統関係の解析は、虫体入手の困難さも手伝い、先行研究では十分に検討されていない。
そこで、日本におけるヒトの鞭虫症の感染源がニホンザルである可能性を検討するため、初年度(2022年度)は、2020年の南東北地方におけるヒトの鞭虫症例発生と同じエリアで捕獲された野生のニホンザルの鞭虫寄生状況の調査を行なった。これらのニホンザルは、個体数調整のために捕獲されたものである。腸管を約50個体分検査した結果、8割以上の検体から形態学的に鞭虫と判定される虫体が検出された。また、ヒト由来の鞭虫については、臨床検体の受託検査機関から、人体症例由来の鞭虫の成虫を譲り受けた。現在、これらのヒト由来およびニホンザル由来の虫体に対して分子同定に関する検討に取り組んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究課題の遂行に必要なヒト由来およびニホンザル由来の鞭虫の採材ができたため、区分2を選択した。

今後の研究の推進方策

初年度に得られた検体を用い、遺伝子配列を解析し、人体症例に由来する鞭虫およびニホンザルに由来する鞭虫を比較する。分子同定に関して、標的遺伝子として注目するのは、リボソームRNA遺伝子、ミトコンドリアDNA ・coxI遺伝子、β-チューブリン遺伝子を予定している。また、解析に必要な遺伝子マーカーを探索し、その部位を効率的に増幅できるような特異的プライマーを設計する。さらに、この方法を糞便にも適用し、糞便材料を用いた確実な診断法も開発したい。

次年度使用額が生じた理由

当初、初年度(2022年度)および第二年度(2023年度)に分けて実施を予定していたヒト由来およびサル由来の採材が、どちらも初年度に調整可能な状況となったため、初年度は採材に注力した。採材に必要な機材については、在庫があり、購入の必要がなかった。
次年度は解析に使用する高価な試薬を多数購入する必要があり、初年度の残額を次年度に転用することで、研究成果が上がると考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 日本における土壌伝播蠕虫感染状況調査および鞭虫症感染源の検討2023

    • 著者名/発表者名
      城山光子、石崎優斗、川島一公、Walson Judd L.、濱野真二郎
    • 学会等名
      第92回日本寄生虫学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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