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2023 年度 実施状況報告書

日本における鞭虫症の感染源がニホンザルであることを立証し、感染予防対策を提唱する

研究課題

研究課題/領域番号 22K17357
研究機関麻布大学

研究代表者

城山 光子  麻布大学, 生命・環境科学部, 講師 (50908001)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードTrichuris trichiura / Macaca fuscata / ヒト鞭虫 / ニホンザル / 寄生虫 / 人獣共通感染症 / 系統解析
研究実績の概要

ヒト鞭虫Trichuris trichiura(以下Tt)はヒトに寄生する土壌伝播線虫である。ヒト以外の霊長類にも寄生するが、近年の遺伝子解析の結果から、Ttは隠蔽種である可能性が示唆されている。実際、研究代表者が日本のヒト由来Ttとニホンザル由来Ttの遺伝子配列を解析したところ、差異が認められた。そこで、両者の関係を比較検討するため、福島市の野生ニホンザル(個体数調整で捕獲された個体)から鞭虫を回収し、虫体の遺伝子解析および比較分析を行なった。
その結果、野生ニホンザル86頭中81頭(94%)から2,951隻の鞭虫が検出された。陽性サル1頭あたりの感染数は最小1隻、最大321隻で、中央値は16隻であった。まず形態を調べたところ、虫体には数珠状の食道細胞、交接刺・交接刺鞘を認め、虫卵を含めたその特徴はTtと同定するに充分であった。次に、3頭から検出された34隻を用いて18SリボソームRNA遺伝子(18S)およびITS2領域(ITS2)の部分配列を解読した。解析したニホンザル由来Ttの配列は全検体でそれぞれ完全に一致した。さらに、ニホンザル由来Ttと同所の患者由来Ttを比較した結果、ITS2の部分配列は完全に一致した。しかし、18Sを解読した範囲(1,749 bp)では、1塩基が異なった。系統解析からは、患者由来Ttはニホンザル集団由来Ttと同一の系統と検証されたので、次年度は残りのニホンザル由来Tt(約2,900隻)を解析し、患者由来Ttとの関係を明らかにする。なお、多数の虫体を効率良く解析するため、今年度は新たなリアルタイムPCRのアッセイ系を構築したので、次年度の解析にこれを適用する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究課題の目標を達成するために必要な採材が完了し、遺伝子解析および系統解析も進めていることから、区分2を選択した。

今後の研究の推進方策

採材したニホンザル由来Ttおよびヒト由来Ttについて、複数の遺伝子マーカーを用いて遺伝子解析を継続する。系統解析を実施し、日本人の鞭虫の感染源としてニホンザルの重要性について考察する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は採材のための複数回の国内出張を予定していたが、福島市より検体を発送いただいたことで出張回数が減少した。また、遺伝子解析の新たな実験系について、今年度は構築に留まったため、試薬は次年度に購入して使用することとなった。残額を用いて、多数の検体の解析を実施したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ヒトの鞭虫症の感染源に関する研究:福島市の野生ニホンザルの鞭虫の解析2024

    • 著者名/発表者名
      城山光子、常盤俊大、加藤卓也、杉山 広、濱野真二郎、羽山伸一
    • 学会等名
      第93回日本寄生虫学会大会

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公開日: 2024-12-25  

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