研究課題/領域番号 |
22K17379
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
石丸 知宏 産業医科大学, 医学部, 准教授 (30813737)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 産業保健 / 転倒 / タイ / 高齢化 / 労働災害 |
研究実績の概要 |
本研究は、タイの農業従事者に対して、「転倒等災害リスク評価セルフチェックを用いたリスク認知」と「転倒に焦点を当てた参加型職場環境改善」を組み合わせた研修の効果を検証する準実験的研究(Quasiexperimental study)である。 「転倒に焦点を当てた参加型職場環境改善」は、本介入のために、農作業時の転倒リスクを特定し、自分たちでできる予防対策アクションチェックリスト(15項目)を関連資料を基に独自に開発した。参加型職場環境改善では、転倒災害の問題点とアクションチェックリストの使用方法に関する講義(30分)、アクションチェックリストを用いたグループワーク(1時間)、自分たちでできる予防対策の発表会(30分)で構成した。 調査地であるタイのナン県とサラブリ県で本研究への参加に同意が得られた者(389名)に対し、2022年7月にベースライン調査として、アンケート、身体計測、転倒等災害リスク評価セルフチェックを実施した。参加者全員に対して転倒等災害リスク評価セルフチェックの結果は測定直後にフィードバックした。次に、2022年8月に転倒に焦点を当てた参加型職場環境改善の研修を介入群(71名)に対して実施した。最後に、2023年2月から3月にかけてフォローアップ調査として、ベースラインと同じアンケート、身体計測、転倒等災害リスク評価セルフチェックを参加者全員に対して実施した。 調査地クラスターをランダム抽出、介入群の71名と対照群の302名に分け、介入群に対してのみ介入を行い、それぞれ62人(介入群)と169人(対照群)が解析対象となった。統計解析の結果、過去6ヵ月間の転倒の発生率は介入群で41.9%から22.6%に減少したが、統計的有意差は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに調査を実施している。現地視察、倫理審査の承認、ベースライン調査、フォローアップ調査、データ処理、統計解析まで完了した。ただし、6ヶ月時点での介入効果を認めず、以後のフォローアップ調査を中止とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果の論文化、国際ワークショップの開催を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の想定より航空運賃が割安で済んだため次年度使用額が生じた。次年度は円安や燃料費高騰により航空運賃が割高になることが想定されるため、次年度使用額を充当する。
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