研究課題
日本全国の12施設からカルバペネム耐性菌の臨床情報と菌株、およびコントロールとなるカルバぺネム感受性菌の臨床情報を収集した。2022年3月31日時点で823株、527症例の臨床情報を収集し、現在も継続中である。2022年10月には日本感染症学会東日本地方会においてカルバペネム耐性(CR)および感性(CS)緑膿菌の予後比較に関する発表を行った。CR緑膿菌感染例35例(CR群)とCS緑膿菌感染例35例(CS群)を解析した。両群の年齢の中央値は72歳、男性の割合は71.4%/74.3%であった。既往歴は脳血管疾患を20.0%/22.9%、固形臓器腫瘍を34.3%/42.9%、糖尿病を17.1%/11.4%に認め、Charlson Comorbidity indexの中央値は両群ともに2であった。感染症の内訳は血流感染症11.4%/11.4%、呼吸器感染症42.9%/45.7%、尿路感染症17.1%/25.2%、創部感染症11.4%/17.1%、胆管炎5.7%/2.9%、膿胸5.7%/2.9%であった。入院から菌検出までの日数は両群ともに6日以上が82.9%を占めた。30日死亡率はCR/CS群で14.3%/8.6%、死亡例を除いた検出後の入院期間の中央値は39日/33.5日であった。CR緑膿菌感染例はCS緑膿菌感染例と比較して死亡率が高く、入院期間が長い傾向にあることを明らかにした。またカルバぺネム耐性菌の遺伝子解析を進めたため2023年度に発表予定である。
2: おおむね順調に進展している
日本全国の12施設からカルバペネム耐性菌の臨床情報と菌株、およびコントロールとなるカルバぺネム感受性菌の臨床情報を収集した(2022年3月31日時点で823株、527症例)。2022年10月には日本感染症学会東日本地方会においてカルバペネム耐性(CR)および感性(CS)緑膿菌の予後比較に関する発表を行った。CR緑膿菌感染例35例(CR群)とCS緑膿菌感染例35例(CS群)を解析した。両群の年齢の中央値は72歳、男性の割合は71.4%/74.3%であった。既往歴は脳血管疾患を20.0%/22.9%、固形臓器腫瘍を34.3%/42.9%、糖尿病を17.1%/11.4%に認め、Charlson Comorbidity indexの中央値は両群ともに2であった。感染症の内訳は血流感染症11.4%/11.4%、呼吸器感染症42.9%/45.7%、尿路感染症17.1%/25.2%、創部感染症11.4%/17.1%、胆管炎5.7%/2.9%、膿胸5.7%/2.9%であった。入院から菌検出までの日数は両群ともに6日以上が82.9%を占めた。30日死亡率はCR/CS群で14.3%/8.6%、死亡例を除いた検出後の入院期間の中央値は39日/33.5日であった。CR緑膿菌感染例はCS緑膿菌感染例と比較して死亡率が高く、入院期間が長い傾向にあることを明らかにした。またカルバぺネム耐性菌の遺伝子解析を進めたが、2022年度は未発表であるため2023年度に発表予定である。
2023年度にはさらにカルバペネム耐性菌の臨床情報と菌株の収集を行う予定である。さらにネットワークの拡充を目指し施設拡大を行う予定である。これまで蓄積してきたデータをもとに、腸内細菌目細菌、ブドウ糖非発酵菌、エロモナスについての患者背景、感受性、臨床的予後をまとめ、感染群と保菌群における差異を見出す。解析については完了しているため、論文としてまとめ国際誌に投稿する。さらにStenotrophomonas maltophiliaについて臨床的、分子疫学的解析を行い、国際学会で発表をおこなう。その後、論文化し国際誌への投稿準備を行う。免疫不全者におけるカルバペネム耐性菌感染症とカルバペネム感性菌感染症の予後を比較解析し、カルバペネム耐性菌感染症が臨床的に与えるインパクトを明らかにする。本データについても国際学会で発表を行い、その後論文投稿の準備を進める。
会議についてはオンライン会議を行うことで経費削減が可能であった。またデータ管理費用については2022年度は内部人材による作業が可能であったため人件費を削減することが可能となった。論文発表は2023年度に行うこととした。
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