研究実績の概要 |
マウス受傷皮膚を検体として行ったプロテオーム解析によって得られた経時的な受傷皮膚タンパク質発現プロファイルから、受傷後の変動が大きいタンパク質を検討候補としていくつか選定し、real time-PCRによるmRNA発現検討及びウエスタンブロット(WB)によるタンパク質発現検討を行っている。具体的には、Apolipoprotein(ApoA1, A2, B, C1, C3, D, E, M)を対象としている。これらのタンパク質はいずれもリポタンパク質の構成成分であり、主に肝臓や消化管に発現して脂質輸送・代謝に関与している。損傷治癒においてどのような機能を有するか現時点では明らかではないが、過去のプロテオーム解析においてはいずれも受傷後3日に発現増加のピークが認められていた。 9種類のApolipoprotein(ApoA1, A2, A4, B, C1, C3, D, E, M)について経時的なmRNA発現検討を行ったところ、ApoA1については受傷後1から3日において発現増加が認められたが、その他の分子においては有意な変化を認めなかった。タンパク質の発現検討は継続中であるが、ApoA1、ApoA4では受傷後0.5から2日での発現増加が認められている。ApoA1については受傷部において実際に発現の増加が生じているものと考えるが、明らかなmRNA発現の増加が認められなかったことから、A4に関しては受傷部以外の部位からの輸送が増加している可能性が考えられる。
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