研究課題/領域番号 |
22K17439
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
坂根 可奈子 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (40559267)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 服薬アドヒアランス / 高齢者 / 看護 / 服薬自己管理 / 看護システム / アプリ |
研究実績の概要 |
高齢患者の服薬自己管理に向けた看護師のアセスメントや支援の方向性をガイドする「高齢者の服薬アドヒアランス看護支援システム」を活用したパイロットスタディを実施した。 A急性期病院において、長期的な服薬自己管理を要する患者が多い膠原病・腎臓内科病棟、循環器内科病棟、脳神経内科病棟に所属する臨床経験3年以上の看護師を研究対象者とした。対象者にシステムの操作体験をしてもらい、20分程度のインタビューを実施した。インタビュー内容は、①システムの操作性、②システムを活用するメリット、③システム活用の限界や課題、④システムを活用した看護介入ができそうな患者背景についてである。データ分析はインタビュー内容を録音した IC レコーダーをもとに逐語録を作成し、上記①~④について語られている内容を抽出し、グルーピングした。本研究は島根大学医学部看護研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(第407号)。 その結果、①操作性では、すべての対象者が問題ないと答えた。②メリットは、患者の服薬自己管理上の強みや弱みが可視化されること、服薬自己管理へ移行するタイミングなど看護師間で統一したアセスメントができること、アセスメントや支援の方針を薬剤師や看護師間で共有できること等、③限界や課題では、入院時にすべての項目の入力が難しいこと、新人看護師はアセスメント入力が難しいこと等、④患者背景は、薬剤調整が必要な患者、独居の患者等が抽出された。 調査結果から、システムの操作性に問題ないことが確認できた。調査対象病棟では、慢性期病棟であり、入院中に処方調整や変更を伴うケースが多く、特に入院中の服薬自己管理への移行の判断にシステムが役立つ可能性が示唆された。また、システムを活用する看護師の経験年数や、入院時に入力する優先度の高い項目等の検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に開発したシステムを使用して急性期病院でのパイロットスタディを実施することができた。一方、訪問看護ステーションの看護師も対象として実施予定であったが、新型コロナウィルス感染症やインフルエンザの断続的な流行があり、リクルートの懸念が大きかったことから、在宅領域のパイロットスタディを進めることができていない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に取り組んだ予備調査の結果を活用して、急性期病院の内科系病棟における高齢者の服薬アドヒアランス看護システムの有効性を評価する。2024年度は、研究倫理審査受審の準備を進め、データ収集を実施する予定である。また、在宅領域における予備調査も同時並行で進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表のために旅費を計上していたが、研究遂行にやや遅れが生じたため、成果発表に間に合わなかった。次年度に成果発表を行い、その旅費として充てる計画である。
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