研究実績の概要 |
本研究では、動脈硬化性心血管病 (atherosclerotic cardiovascular disease: ASCVD)の予防に役立てること目的として、骨格筋への温罨法が慢性炎症に与える影響を検証している。 2023年度は、藍野大学で研究倫理委員会の承認を受けて実施をした、本研究の第一段階部分にあたる介入について統計学的なデータ解析を行った。温熱習慣と動脈硬化度および慢性炎症関連タンパクに関する検討であり、健康成人の日常的な温熱習慣と健康状態、動脈硬化度(baPWV),血中の慢性炎症関連タンパク(IL-6, hsCRP, heat shock protein70; HSP70)濃度との関連について検証をした。対象者からは定期的な継続した研究協力が得られていたことから、複数時点での変動についても関連性を検証することができた。 また、慢性炎症がインスリン抵抗性やアテローム性動脈硬化症などの基礎的病態である点について、書籍(章)の執筆を担当した。特に、慢性炎症に対してどのように温熱効果を活用していけるかという点を考察した。熱応答性に発現増加したHSP70の有するシャペロン機能が、炎症性サイトカインに影響を与え、インスリン抵抗性やアテローム性動脈硬化症の予防に寄与する可能性について、これまでの実験結果や最新の先行研究結果などから述べている。特に、身体活動が制限されている場合においては、骨格筋機能の一部を代償する手段として温罨法による温熱効果は有効である可能性が考えられた。これらの検証は、今後の介入計画にも影響するものであり、計画の修正が必要であると考える。
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