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2022 年度 実施状況報告書

高リスク手術予定の患者の「私らしく生きる」を支えるディシジョンエイドの実装と普及

研究課題

研究課題/領域番号 22K17456
研究機関聖路加国際大学

研究代表者

山本 加奈子  聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 助教 (00833477)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードディシジョンエイド / 集中治療室 / アドバンスケアプランニング / 周手術期 / 代理意思決定 / シェアードディシジョンメイキング / 終末期医療 / 移行支援
研究実績の概要

ICUで治療を受ける患者がadvance care planning(ACP)について考え、意思決定を行うことを支援するために開発した2冊のdecision aids(DAs)を普及するために、「ICUで治療を受けること」というホームページを作成した。開発したDAsに関して、実際に臨床で活用できるものかを評価した実装研究の結果と、高リスクな手術前の患者へのACP支援が患者と家族に与えた効果について第27回日本緩和医療学会学術大会とBest of SCCM Congress 2022 Taipeiにて発表した。
また、このDAsを臨床において広く普及していくために、有効性を評価する研究のプロトコル開発を進めており、ランダム化比較試験の方法を用いたパイロットスタディを実施し、現在この結果を分析している。この研究の分析結果を踏まえて、今後どのようにDAsを用いた患者支援を進めていくか、効果アウトカムの明確化につなげていく。
さらに、ICU患者の多くは、入院時にすでに意思決定能力が低下していることや、突然の急変に伴い患者の家族が危機的状態に陥るリスクが高く、患者のACPの意向が引き継がれにくいという課題がある。このような中で家族は難しい代理意思決定を行わざるを得ない状況がある。この現状を明らかにするために代理意思決定を経験した家族を対象にした全国調査を実施した。この調査は、家族が実際に代理意思決定を行った際に納得した意思決定ができたと認識しているか、医療者からどのような支援を受けたいか、患者と自分たち家族にとって納得した代理意思決定を行うための必要な情報と支援について理解することを目的に実施した。現在、この結果を分析しており、今後、家族が患者の推定意思を考えながら医療者とも話し合い、代理意思決定を行えることを支援するDAの開発も並行して実施していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

ホームページの作成とアップロードについて予定より早く実施することができた。また、実装研究の結果の分析から、どのようにDAsを普及していくことが効果的か検討することも当初の予定より早く実施できた。
これらより、DAsを用いた有効性評価を行うためのパイロットスタディのデータ収集をすでに実施できているため。

今後の研究の推進方策

開発したDAsの有効性評価を行うためのランダム化比較試験を本研究の最終目標として当初は計画していた。しかし、実装研究とパイロットスタディの結果から、DAsを提供することで患者と家族はACPについて初めて理解し、知識を得ることにつながっていることが明らかになった。患者は自分の治療に関する希望を医療者や家族と話をするためには、医療者からの支援を必要としていることも明らかになった。
一方で、医療者はACPに関する支援を患者や家族に行うことは難しいと感じていることも明らかになり、DAsを有効に活用するためには、医療者がACPに関する理解を深める必要があると考えられた。これらより、今後の計画では、医療者がDAsを用いて患者と家族へのACP支援を有効に実施するための手順書の開発も進め、DAsの普及を進めていく計画としている。

次年度使用額が生じた理由

2022年度に計画していた研究が予定より早く進んだため、前倒し申請を実施して研究を進められたことで、2023年度の使用額に変更を生じた。このため、2023年度に実施予定である研究自体の大きな変更はなく遂行できると考えている。2023年度は、2022年度に前倒しで実施したパイロットスタディの研究結果を分析し、有効性評価やDAsの普及のための戦略を再考するとともに、医療者が患者や家族のACP支援を実施しやすくするための手順書の開発も進めていく。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A Scoping Review of Advance Care Planning Support for Patients in Intensive Care Units2022

    • 著者名/発表者名
      Kanako Yamamoto, Junko Hayama, Yuki Yonekura, Kazuhiro Nakayama, Erika Ota
    • 雑誌名

      PACIFIC RIM INTERNATIONAL JOURNAL OF NURSING RESEARCH

      巻: 26(3) ページ: 488-500

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Development and content validation of decision aids for advanced care planning support for patients undergoing high-risk surgery2022

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto Kanako、Nakayama Kazuhiro
    • 雑誌名

      Journal of Perioperative Practice

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1177/17504589221117672

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Implementation of advance care planning decision aids for patients undergoing high-risk surgery: a field-testing study2022

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto Kanako、Kaido Toshimi、Yokoi Tadao、Shimada Gen、Taketa Takashi、Nakayama Kazuhiro
    • 雑誌名

      BMC Palliative Care

      巻: 21 ページ: -

    • DOI

      10.1186/s12904-022-01068-2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Junko Hayama, Kanako Yamamoto, Miho Suzuki2023

    • 著者名/発表者名
      Concept Analysis of "Parent-Child Decision Making" pertaining to Pediatric Chronic Diseases
    • 学会等名
      26th East Asian Forum of Nursing Scholars
    • 国際学会
  • [学会発表] 曖昧な治療の希望を持つICU患者に対する医療者の終末期医療における治療判断の認識2022

    • 著者名/発表者名
      山本加奈子
    • 学会等名
      第27回日本緩和医療学会学術大会
  • [学会発表] ハイリスク手術前患者が急変に備えるためのadcance care planningに関するディシジョンエイドの実装と評価2022

    • 著者名/発表者名
      山本加奈子、海道利実、横井忠郎、嶋田元、武田崇志、中山和弘
    • 学会等名
      第27回日本緩和医療学会学術大会
  • [学会発表] Experience in advance care planning discussion for patients and families before admission to the intensive care unit2022

    • 著者名/発表者名
      Kanako Yamamoto
    • 学会等名
      Best of SCCM Congress 2022 Taipei
    • 国際学会
  • [備考] ICUで治療を受けること

    • URL

      www.careicu.com

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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