研究実績の概要 |
本研究は,2018~2020年度に科研費(18K17538)の採択を受け実施した課題からの継続テーマである.研究の最終目標は,放射線診療における散乱線の可視体験ができる教材および教育プログラムの開発により,看護師をはじめとした医療スタッフの被ばく線量の低減化を図ることである.初年度である2022年度の実績は以下のとおり,概ね順調に進展している. ① 教材開発する放射線診療場面の検討:病院に勤務する看護師が遭遇する機会の多い放射線診療について検討し,被ばくのリスク,開発の現実性を考慮して,教材開発する診療場面を移動型X線撮影,X線CT検査,X線透視検査に決定した. ② 散乱線の計測: nanoDot空間線量計(Landauer Co., Ltd.)を用いたジャングルジム法(大屋ら. RNSJ, 8 (1), 2020; Daioku et al. J Radiol Nurs, 40 (3), 2021)で,決定した放射線診療で発生する散乱線を計測した. ③ 散乱線の分布図の作成と検査室の3DCG映像の制作: 測定値からOriginPro 2019ソフトウェア (Lightstone Co., Ltd.)を用いて,線量プロファイルを作成中である.一部,集中治療室におけるX線透視撮影の結果については,線量プロファイルまで完成し,本結果はAsia Pacific Intensive Care Symposium 2023(APICS 2023)での公表に向けエントリー済である.
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今後の研究の推進方策 |
概ね当初の研究計画に沿って推進する予定である. ① 線量プロファイルの作成とRGB線量マップの作成を進めると同時に3DCGの作成に取り掛かる. ② バーチャル・リアリティ(VR)を体験するデバイスの選定を進め,Unityソフトウェア (Unity Technologies Co., Ltd.)により教材の完成を目指す.計画どおりに教材開発が進めば,専門業者 (GROW Co., Ltd.)にプログラムの動作確認と修正を依頼していく. ③ プログラムの修正を依頼中に,インストラクショナルデザインのADDIEモデルに沿って開発したVR教材を用いた研修プログラムの設計を開始する.
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